リモートデスクトップ接続は重要なアプリケーションだ。その人気の高さ故か、米Microsoftの「Windows」、米Appleの「Mac OS」、OSSの「Linux」にはリモートデスクトップ接続のホストソフトウェアが同梱されている。Appleのタブレット「iPad」で利用可能なリモートデスクトップ接続のクライアントアプリも豊富にある。
リモートデスクトップアプリを使用すると、タブレットなどクライアントアプリを実行している端末から、ホストソフトウェアが稼働する他の端末へ接続できる。前者でユーザーインタフェース(UI)を操作し、後者の状態を確認して管理可能だ。
リモートデスクトップアプリは、自宅やオフィスのLANやLTE回線だけでなく、カフェの公衆無線LAN経由でも実行できる。自宅のリビングからオフィスのデスクトップPCへ接続したり、ホテルから自宅のクライアントPCへ接続したりするのに使える。
念のために補足しておこう。リモートデスクトップアプリが機能するには、リモート操作されるホスト端末の電源がオンになっていて、ホストソフトウェアのインストールと設定が完了し、実行されている必要がある。
iPadは、ホスト端末へアクセスするクライアント端末として使用できる。ホスト端末として利用できるのは、WindowsやMac OS、LinuxといったデスクトップOSの搭載端末だ。Microsoftの「Windows 8」搭載端末がホスト端末の場合、タッチ操作向けの「モダンUI」もクライアント端末から操作できる。
ただし、ホスト端末からクライアント端末を操作するのは不可能だ。管理設定を調整すれば幾つかの例外はあるかもしれないが、基本的にはiPadなどAppleの「iOS」搭載デバイスへのリモートアクセスはできない。
正直なところ、タッチ操作ベースのタブレットで、キーボード操作が前提のクライアントPCへリモートアクセスする操作は、必ずしも快適とはいえない。「Microsoft Excel」などキーボード/マウス指向のWindowsアプリをリモートで制御するのは、レインコートを着てボクシング用グローブをはめて、テーブルサッカーゲームをプレイするようなものだ。
Bluetooth接続のキーボードを持っていても同じだ。Windows 8のタッチ操作指向のモダンUIであっても、タブレットからリモート制御するのは容易でない。こうした特性により、遠隔地からのテクニカルサポートなど、リモートデスクトップが一般的に使われる作業の多くを困難にしている。
離れた場所にあるホスト端末へリモートでアクセスすると、処理や動作に遅延が生じる。これは、インターネットやリモートデスクトップアプリベンダーのクラウドを経由してホスト端末へ接続しているために発生する現象だ。クライアント端末として利用するiPadと、ホスト端末として利用するデスクトップ/ノートPCを並べて試してみてほしい。両方の端末でスピーカーをオンにして動画共有サイト「YouTube」の動画を再生すると、遅延が発生する状況を実際に確認できるだろう。
一方、離れた場所にある端末にインストールされているWindowsのオフィスアプリの実行、保存されているファイルの取得、動画の再生といった操作には、iPadからリモートアクセスしても支障はない。これらの作業ができないよりは間違いなく良い。
本稿では、iPadに対応したリモートデスクトップアプリの中から人気のあるものを幾つか紹介する。もちろん、多くのアプリでは他のモバイルOS版も用意している。
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