キヤノンの発表したデジタル一眼レフ新製品「EOS 70D」は、3年前に発表された「EOS 60D」(2010年8月発表)の後継に当たる。写真趣味層向けのミドルクラスエントリーという位置づけは前機種と変わらず、細部に至る強化が施されたモデルだ。
、特徴的なバリアングル液晶は60Dより継承しながら、撮像素子の高画素化(有効 2020万画素)や画像処理エンジンの進化( DIGIC 5+)、上位機種「EOS 7D」譲りの19点AFシステムなど、デジタル一眼レフカメラとしての基礎性能を向上させながら、スマホ連携を実現するWi-Fiや、新たなライブビュー/動画用AFシステム「デュアルピクセルCMOS AF」を搭載するなど、意欲的な新機能も搭載している。
バリアングル液晶を備え、全体的に丸みを帯びたデザインは前モデル「EOS 60D」を踏襲するが、並べてみると70Dのほうがやや四角い印象。細部に目をやると、ライブビュー/動画ボタンの形状や背面「MENU」「INFO」ボタンなどの位置は60Dより変更されており、全体としてのボタンレイアウトはフルサイズ機の「EOS 6D」に近い。
ただ、背面の十時キーが一体となっているサブ電子ダイヤルは60Dより小さく、撮影モードダイヤルに用意されている項目の数そのものも少なくなっている。また、シャッターユニットは新開発されたもので最高シャッタースピードは1/8000秒。60Dに比べるとシャッター音も変化しており、やや高めの、キレのある音がする。
60Dでは「ポートレート」や「スポーツ」などが撮影モードダイヤル上に用意されていたが、70Dではこれらは「SCN」に含まれ個別の項目はメニュー画面から選択する形式に改められた。結果として、60Dでは撮影モードダイヤルに15の項目があったところ、70Dでは10項目になり、だいぶダイヤルがスッキリした。
AFシステムが「EOS 7D」とほぼ同等の19点測距となった影響か、メイン電子ダイヤルの隣に測距エリア選択のボタンが設けられた。ボタンを押す度に「1点AF」「ゾーン選択」「19点自動選択」が切り替わる。
メニュー画面は上部にタブがあるユーザーインタフェース自体に変化はないが、多重露出やHDR、Wi-Fiなど新要素が多く加わったためか、横方向の項目が60Dより増えている。ただ、撮影に関する設定は赤、再生に関する設定は青、カメラ本体全般に関する設定は黄色、カスタム機能設定はオレンジ、マイメニュー設定は緑という色による項目分けに変化はないので、項目が増えたとはいえEOSシリーズ製品の利用者ならば、触っていく内にほどなくして慣れると思われる。
前述の通り、画像処理エンジンが「DIGIC 5+」になったこともあり、最高ISO感度は常用でISO12800まで向上している(60Dは常用最高ISO6400)。ISOオート時の感度設定についても60Dでは上限値の設定のみであったが、70Dでは上限/下限が独立して設定できるようになり、ISOオート時のシャッター速度限界値も設定できるようになった。そのほかファインダー内に簡易水準器を表示可能となっていたり、静止画撮影だけを取り上げても60Dからの強化・改良点が多く見受けられる。
有効2020万画素のAPS-CサイズCMOSセンサーから得られる画質や、新たに搭載されたAFシステム「デュアルピクセルCMOS AF」の使用感などについては追って紹介する。
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