Devil's Canyonで注意したい「クーラーユニット」
2014年の後半に向けて、インテルはデスクトップPCプラットフォームを変えようとしている。そのきっかけとなるのは、インテルが市場投入した“Devil's Canyon”(開発コード名)こと、 「Core i7-4790K」(4.4GHz/最大4.4GHz、4コア8スレッド、3次キャッシュ8Mバイト)と「Core i5-4690K」(3.5GHz/最大3.9GHz、4コア4スレッド、3次キャッシュ6Mバイト)、そして、“Pentium Processor Anniversary Edition”こと「Pentium G3258」(3.2GHz、2コア2スレッド、キャッシュ3Mバイト)だ。
これらCPUの半導体そのものは、従来の“Haswell”世代と変わりなく、Devil's Canyonに関してはTIM(Thermal Interface Material)などの変更により、より高クロックで動作しやすくした。このことは、オーバークロック設定において、より多くの電力を必要とし、それに伴い発熱も大きくなることを意味する。
インテル関係者は、Core i7-4790Kは冷却さえしっかりすれば、空冷でも水冷でも5GHzで常時稼働できると主張する。しかし、そのときの消費電力は、(設定にもよるが)150ワット前後が必要で、安定して動作させるためには、強力なCPUクーラーも必要だ。先月、台湾で開催したCOMPUTEX TAIPEI 2014では、主要パーツベンダーが、よりパワフルな水冷ユニットや、それに対応するPCケースを展示していたが、今後、これらの製品も市場に登場してくる見通しだ。
水冷ユニットのトレンドにも変化が見られる。これまで、主流だった一体型ではなく、ラジエータや冷却ヘッドなどを自由に組み合わせるコンポーネントタイプの需要が高まりつつある。その背景には、透明の配管ケーブルなどを使ってケース内を装飾する“遊び”を楽しむユーザーが増えている、ということだけでなく、次世代CPUへの対応も視野に入れたためと、クーラーユニットベンダー関係者は説明する。
インテルが2015年に投入する予定の“Broadwell”(開発コード名)は、14ナノメートルプロセスルールに微細化することもあり、省電力化が進むことと期待するユーザーは多い。しかし、クーラーユニットの関係者によると「倍率ロックフリー版BroadwellのTDPは95ワットと、Devil's Canyonよりも高い上、14ナノメートルプロセスルールを採用することでダイサイズが小さくなり、熱密度が上がるため、より高性能なCPUクーラーユニットが必要となる」と指摘する。ましてや、オーバークロック設定で動作するとなれば、いままで使っていた冷却環境では力不足になる。
同じ関係者は、「一体型水冷ユニットを利用する場合、PCケース内の温度にも気を配るべきだ」という。特にハイエンドグラフィックスカードを搭載するシステムでは、その放熱によりPCケース内部の温度が上昇し、ラジエータの冷却効率が極端に落ちるケースもある。
そこで、GPUも水冷できるソリューションとして、Corsairは同社の一体型ユニットをハイエンドGPUに利用できるようにするアタッチメント「Hydra HG10」を発表した。また、台湾のAKUST Technologyは、Larkooler製の最大280ワットまでのTDPに対応するウォーターブロック「SkyWater VGA WB 30」を採用した一体型GPUクーラーを公開するなど、いま、GPU向け水冷システムへの期待が高まっている。
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