Google日本法人は7月17日、都内で経営者向けイベント「Atmosphere Tokyo 2013」を開催。来日した米Googleエンタープライズ部門 担当社長のアミット・シング氏は、同社の企業向け有料サービスのユーザー動向や最新事例を紹介した。
Googleは、企業向けオフィススイート「Google Apps」無償版の提供を2012年12月に終了するなど、有料サービスへのシフトに注力している。「企業向け有料サービスのユーザーは順調に増えている。今では“Fortune 500”の企業のうち、約58%がGoogleの有料サービスを利用している」とシング氏は話す。
日本でも、ソフトバンクや全日本空輸(ANA)、クボタ、富士フイルムなど、多くの大企業がGoogleの有料サービスを使い始めている。例えば、クボタと富士フイルムは社員の情報共有/コミュニケーション基盤として有償のGoogle Appsを導入したほか、ANAは全社員3万3000人へのGoogle AppsとGmailの導入を進めている最中という。
こうした流れは大企業だけにとどまらない。中堅・中小企業での導入社数はここ数年で急速に増え、今ではグローバルで約500万社がGoogleの有料サービスを利用しているという。「中堅・中小企業の場合は、既存のIT投資が少ない分、大企業と比べて早期に新しいシステムを導入できるのだろう」とシング氏はみる。
同社はGoogle AppsやGmailをはじめとするSaaS(Software as a Service)型サービスのほか、インフラ分野のサービスにも注力している。例えば、同社が提供しているPaaS(Platform as a Service)の「Google App Engine」は、Googleが自社サービスのインフラとして使っているデータセンターリソースを、企業がWebアプリケーションのインフラとして使えるクラウドプラットフォームだ。
「日本ではGoogleのクラウドプラットフォームがいち早く使われている」とシング氏。例えば、スマートフォン向けゲーム開発会社のアプリボットは、ゲーム開発・運用のインフラとしてGoogle App Engineを採用。ソーシャルゲームのユーザーから寄せられる秒間約700ものリクエストを、Google App Engine上でスムーズに処理できるようになったという。
「2009年に社員わずか3人でスタートしたアプリボットは、今では120人を超える従業員規模でゲームアプリを開発している。だが彼ら自身は、サーバやネットワーク環境を全く意識していない。なぜならGoogleがサーバのメンテナンスやスケーリングを全て提供しているからだ。彼らは面白いゲームを作ることだけに集中すればいい」(シング氏)
Amazon Web Service(AWS)など競合他社に対するGoogleのクラウドプラットフォームの優位点については、(1)Googleが自社サービスでも利用している高性能で拡張性の高いインフラを利用できること、(2)Google AppsやGoogle Chromeなど、複数のサービスをシームレスに組み合わせて利用できること——を挙げる。「AWSなど他社のサービスも含めてクラウド全体が盛り上がりをみせる中、Googleは開発者に“選択肢”を提供していく。AWSにもいいところはあるが、Googleならではの特徴をアピールしていく」とシング氏は話している。
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