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ミドリムシがクルマを走らせる? “夢の燃料”ができる日

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 2024年7月——。

 ガソリンスタンドに設置されているLED看板には「ガソリン200円、軽油180円」と表示されている。1999年5月、東京都内でのガソリン平均価格は97円だったが、その後は原油価格の高騰、円安などの影響を受け、右肩上がりで上昇。四半世紀の間に、価格は倍以上に値上がりしたのだ。

 ガソリン価格の高止まりは続いているが、ガソリンスタンドではちょっとした異変が起きている。看板をよーく見ると、「軽油(ミドリムシ)」と書かれているではないか。かつての軽油は原油から精製されていたが、この「ミドリムシ」タイプは、名前の通り「ミドリムシを原料」としたモノ。「原油から精製していたモノよりも、ミドリムシは“地球に優しい”」ということで、新時代の燃料として注目が集まっているのだ。


yd_midori1.jpgミドリムシを手にしているいすゞ自動車の細井行社長(左)とユーグレナの出雲充社長(右)。両社はミドリムシの油を使って、次世代バイオディーゼル燃料の実用化に向けて共同研究を開始すると発表した

 いきなり10年後の世界から始まったので、「テキトーなことを書きやがって」と思われた人もいるだろうが、近い将来、ミドリムシを原料とした軽油が流通するかもしれない。「ミドリムシって、アオムシのこと? ミトコンドリアのこと?」と思われた人もいるはずなので、ここで簡単に説明する。

 ミドリムシ(学名:ユーグレナ)とは藻の一種である単細胞生物で、体長は0.1ミリ以下(関連記事)。「ということは植物なのね」と思われるかもしれないが、植物と動物の特徴を持った微生物で、両方の栄養素を作り出すことができるのだ。また、ミドリムシの体内には油が含まれているので、それを抽出して、バイオディーゼル燃料にしようという動きが始まっている。

 6月25日、いすゞ自動車の本社に、多くの報道陣が詰めかけていた。そこで、いすゞ自動車とバイオベンチャーのユーグレナが、「石油を1滴も使わずに、クルマを動かしたい。ミドリムシ100%のバイオディーゼル燃料を実用化させるために、共同研究を始める」と発表した。これはテレビや新聞などでも取り上げられたが、記者はもっと詳しく知りたいと思った。

 まだ見たことがない燃料を“どうやって作る”のだろう。そして、夢の燃料が完成すると“どんな世の中になる”のだろう。この2つの疑問をユーグレナで研究開発を担当している鈴木健吾さんにぶつけてみた。聞き手は、Business Media 誠編集部の土肥義則。前後編でお送りする。

yd_midori5.jpgミドリムシ
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