米Hewlett-Packard アジア太平洋・日本地域担当エンタープライズグループ シニアバイスプレジデント ゼネラルマネージャのジム・メリット氏は、4月から日本ヒューレット・パッカードの執行役社長を兼務している。インド・ムンバイで開催中の「HP World Tour Report」でグループインタビューに応じた同氏に、HPの現状や日本HPの経営などを聞いた。
—— 日本市場に対する所感をお聞かせください。
メリット ご存知の方も多いですが、デル日本法人の社長(2006〜2011年)を務めたこともあり、私にとって日本は特別な場所ですし、住んでいたこともあります。直近の数カ月に何度も来日しています。HPとしても日本市場はアジアの中で最も重要な地域であり、これからもイノベーションの提供を通じて顧客が価値を実装していただけるようにしたいと思います。
—— 小出伸一氏の退任(現在はセールスフォース・ドットコム代表取締役会長兼CEO)後の日本HPでの経営はいかがでしょうか。
メリット 私はデル時代を含めて日本で長くビジネスを経験しています。日本の顧客を知っています。小出さんのこともよく理解しています。幸いにも日本HPには優秀な人材が数多く在籍しており、リーダーシップを含めて素晴らしいマネジメント体制があります。顧客、パートナーとのビジネスも良好です。
—— PC市場の縮小など過去数年間はHPにとって厳しい状態が続いていたと思いますが、現状はいかがでしょうか。
メリット HPは大規模なグローバルカンパニーであるため、組織は非常に複雑でした。何度か大規模なリストラも実施してきましたが、直近では新たなビジネスチャンスの獲得に向けて組織の最適化を図っています。ハードウェアはアジア市場で急速に伸びていますし、財務諸表も安定しています。積極的な投資も行い、顧客・パートナー企業からもより良い評価をいただくようになりました。
HPはいま復活のフェーズにいます。
—— IBMがx86サーバ事業をLenovoに売却を表明するなど、競合各社の動きをどう見ていますか。
メリット IBMとの違いはハードウェアビジネスに対する考え方だと思います(インタビュー時点ではLenovoによるIBMのx86サーバ事業の買収は関係当局の審査中)。HPはITインフラへのフォーカスをこれからも続けていきます。
HPの強みはイノベーションの力と顧客サポート力の“深さ”があります。前者では中堅・中小向けサーバから大企業向けシステム、クラウドに至るに広大なポートフォリオがあり、何十年もの間にわたってイノベーションを提供してきました。サポートも同様です。競合の中にはすばらしい企業が多く存在していますが、やはり歴史や実績などの面ではHPが優っているのではないでしょうか。
—— カンファレンスのテーマでもある「New Style of IT」とはどのようなものでしょうか。
メリット New Styleの具体像は企業ごとに違うものでしょう。重要な点とはITが経営陣のニーズや市場のニーズ、機会に対してクラウドやモバイル、ビッグデータ、セキュリティといったトレンドを駆使し、応えることです。そういう意味ではまさに今、ITの力が試されるのだと思います。表現が違ってもHPだけでなく、IBMやDell、NECや富士通、日立製作所もITで顧客企業の変革に貢献しようと挑んでいますね。
—— カンファレンス初日に発表した「The Machine」とはどのようなものでしょうか。
メリット これはコンセプトであり、製品になっていくものです。プロセッサやメモリ、HDDといったビルディングブロックで構成される伝統的なコンピュータのアーキテクチャを変えることが目標です。特別な用途に向けたコア、メモリを光回路でつなぐ構成によって新たな価値(効率性、小型化、低消費電力など)をソリューションとして提供していきます。
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セールスフォース・ドットコムは日本HPの前社長、小出伸一氏が新設された会長職に就任、CEOも兼務し、「社員2000人、売り上げ10億ドル」という成長目標の達成に取り組んでいくことを明らかにした。川原SVPも社長兼COOに昇格し、業種別ソリューションの幅を広げるなど「ニッポンへの投資」を牽引する。
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