「ようやくスタートラインに立てた」——ソニーのPC事業を引き継いだ新会社「VAIO株式会社」が7月1日に発足した。当面は国内限定で事業を展開。第1弾として同日、「VAIO Pro 11/13」などソニーから引き継いだ2シリーズ3モデルを、通販サイト「ソニーストア」で発売した。
社長に就任した元ソニーの関取高行氏は、「いたずらに価格競争に陥らない」と、高付加価値製品に注力することを示唆。2015年度の販売台数目標は「年間30〜35万台」になると述べた。
ソニーの13年4月期のPC販売台数はグローバルで560万台。新会社の販売台数はその5〜6%に激減することになる。販路も「ソニーストア」のみに絞り、ソニー時代より規模を大幅に縮小して早期の黒字化を目指す。
人員数はソニー時代の4分の1以下 「早くて変化に強い組織」
VAIO株式会社は、日本産業パートナーズ(JIP)がソニーからPC事業を引き継いで設立した新会社。資本金10億円のうち95%をJIPが、5%をソニーが出資している。社長は、ソニーでVAIOを事業などを手がけてきた関取氏。
ソニー時代は1100人いた同事業に関わる人員のうち240人が移籍。人員は4分の1以下に減ったが「速くて変化に強い組織。思い切りの良い選択と集中ができる」と関取社長は言う。
「VAIOの里」とも呼ばれる長野県安曇野市の「長野テクノロジーサイト」に本社を置き、東京・新橋に「東京オフィス」を設置。安曇野で設計・製造を、東京オフィスで商品企画、マーケティングを行う。
関取社長は発表会で、「本質+α」と繰り返し述べ、新会社の哲学として「PCの本質の追求」「制約に縛られない」「VAIOのDNAの継承」をあげる。「ソニーを離れてやっていけるのか不安に感じている皆さんもいるかもしれないが、モノ作りの原点に立ち帰り、愛されるブランドになりたい」
設計・製造・カスタマーサポートなど全分野のスタッフが商品企画から試作、量産まで関わる「設計製造一体となったものづくり」を推進。ODM(相手先ブランドによる設計・製造)を含めたすべてのモデルの最終仕上げや品質チェックを安曇野で行う「安曇野FINISH」を展開し、品質を高めるという。
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