バッテリー内蔵でデスクの引き出しに収納しやすい小型軽量
エプソンは6月26日、同社初のA4モバイルインクジェットプリンタ「PX-S05W(ホワイト)」と「PX-S05B(ブラック)」を発表した。2014年9月下旬に発売する。価格はオープン、エプソンダイレクトショップでの販売価格は2万7980円(税別)。
企業でのスマートデバイス導入が進み、外出先や顧客との商談中にスマートフォンやタブレットから手軽にプリントできるニーズが高まっていること、カウンター業務や店舗でより省スペースで収納しやすいプリンタが求められていることを受け、今回の新製品を投入したという。
主な対象ユーザーとしては、モバイルでのIT活用に積極的な個人のノマドワーカーやライフハッカー、法人では直行直帰型のスタイルが多い製薬会社のMR、金融業、保険業、外勤営業、スペースが限られる小売店のカウンターやショールームの商談スペース、さらには警察の捜査本部なども想定している。
最大の特徴は、国内市場のA4インクジェットプリンタで最小最軽量となるコンパクトボディだ(2014年6月現在で最小最軽量、エプソン調べ)。
バッテリーを内蔵しながら、本体サイズは309(幅)×154(奥行き)×61(高さ)ミリ、重量は約1.6キロにおさめている。事務用机の引き出し(内寸が幅318ミリ)に収納できるサイズ、タブレットとともにビジネスバッグに収納できるサイズを意識して設計した。
小型化と軽量化のため、給紙・搬送ローラーの小型化、プリントヘッドのキャリッジとインクカートリッジの小型化、メイン基板の2分割による高密度レイアウト、同社のインクジェットプリンタでは初めてとなるアルミ製フレームの採用などを行った。ボディ表面は持ち運びを考慮し、握りやすく、傷つきにくいシボ加工で仕上げている。
内蔵バッテリーでカラー約50枚もしくはモノクロ約100枚の印刷が可能。付属のACアダプタだけでなく、PCからのUSBバスパワー充電(プリンタ本体が電源オフ/スリープ時のみ対応)、市販のモバイルバッテリーからの給電も行える。
インタフェースはUSB 2.0に加えて、IEEE802.11b/g/nの無線LANを内蔵。Wi-Fi Direct機能により、無線LANルータ/アクセスポイントがなくても、スマートデバイスとプリンタ本体を1対1でつなぎ、ワイヤレスでプリントできる。同社製品のモバイル/クラウドサービス「Epson Connect」にも対応し、無料プリントアプリ「Epson iPrint」を用いたスマートデバイスからのワイヤレスプリントや、ドライバレスでさまざまな機器から印刷できるメールプリントもこなす。
無線LANのマルチネットワーク機能により、PCとプリンタを無線LANで接続して使用している場合も、スマートデバイスからWi-Fi Directによるワイヤレスプリントが可能だ。
本体には1.44型のカラー液晶モニタを搭載。インクやバッテリー残量の確認、無線LANや自動電源オフの設定、スマートデバイスからの印刷時における濃度調整などが可能だ。本体には簡易的なプリンタドライバも内蔵し、外出先のPCから手軽にプリントも行える。
インクは全色顔料を採用し、ブラック単体とカラー3色一体型(C/M/Y)の2カートリッジ構成だ。インクカートリッジはモバイル向けに専用開発し、新インクに最適化したLUT(ルックアップテーブル)を採用した。4×6以下は、フチなし印刷にも対応する。インクカートリッジの印刷可能枚数はカラーが約250枚、モノクロが約200枚だ。
また、修理対応にかかるダウンタイムを削減するため、廃インクを吸収するメンテナンスボックスは、ユーザーが簡単に交換できる構造とした。
出力のスピードはACアダプタ接続時とバッテリー駆動時で異なる。ACアダプタ接続時は、ファーストプリントがカラー約25秒/モノクロ約14秒、印刷速度がカラー約4.0ipm/モノクロ約7.0ipm。バッテリー駆動時は、ファーストプリントがカラー約40秒/モノクロ約22秒、印刷速度がカラー約2.0ipm/モノクロ約3.5ipmだ。ACアダプタを含めた総重量は約1.9キロとなる。A4カラー印刷1枚あたりのインクコストは約12.9円だ。
本体カバーを前から持ち上げて開くと給紙トレイになり、前面に向かってフェースアップで出力される仕組みだ。給紙容量は普通紙が最大20枚、はがきが最大5枚、写真用紙が最大5枚、封筒が最大1枚。A6〜A4、リーガル、レター、六切、ハイビジョン、名刺、KG、2L判、L判、ユーザー定義サイズ(幅55.0〜210×長さ91.0〜355.6ミリ)、はがき、往復ハガキ、洋形封筒1〜4号、長形封筒3号/4号に対応する。
対応OSはWindows XP/Vista/7/8/8.1、Windows Server 2003/2003 R2/2008/2008 R2/2012/2012 R2、Mac OS X 10.6.8以降だ。
エプソン販売 BPMD部の鈴村文徳部長によれば、モバイルプリンタの市場規模は約10万台で、このうち50%のシェア獲得を目標に掲げている。
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