Amazonは2014年6月18日(米国時間)、かねてうわさされていた独自スマートフォン「Fire Phone」をついに発表した。果たしてどのような評価が下されるのだろうか。
Fire Phoneは、優れた独自機能として、「Firefly」や「Dynamic Perspective」などを搭載する。
Amazonの戦略は、アプリではなく、独自開発のハードウェアをユーザーに勧め、自社のストアやサービスとの密接な結び付きを持たせるというものだ。こうした手法についてやや不快さを感じるのは、筆者1人だけではないはずだ。Fire Phoneでは、あからさまにAmazonの利益が最優先されていて、Googleのオンラインストア「Google Play」さえも使うことができない。スマートフォンに関しては膨大な選択肢が広がる中、消費者はこのようなFire Phoneを選ぶのだろうか(関連記事:Amazonスマートフォン発売の“真の狙い”について議論も)。
目玉機能の1つ、「Firefly」
まずは、Fire Phoneの搭載技術をみてみよう。AmazonによるとFireflyは、Fire Phoneのカメラやマイクを使って収集された商品などに関する情報を認識し、Amazonの1億点に上るデータベースから関連情報を探し出す。
Fire Phoneをアイテムにかざすと、そのアイテムに関する情報をスキャンして記録し、「Amazon Web Services(AWS)」のデータベースを参照することで認識するという。認識されたアイテムに関する情報は、Amazonサイトから購入可能な商品として、スクリーン上に表示される。ユーザーは、キーボードに触れることなく、そのアイテムを自動的に購入用カートに追加することができるという。
Fireflyの基本的な構成要素(ビルディングブロック)はどのようになっているのだろうか。
米国の市場調査会社であるEnvisioneering GroupのリサーチディレクタであるRichard Doherty氏は、分解調査を行い、以下のように述べている。
「高解像度カメラを使用し、3G/4Gサービスに常時接続している。クアッドコアCPUはおそらく使用していない。低光量/赤外線暗視カメラの他、オーディオを使って、周囲の環境音や音楽、テレビ/映画のサウンドトラックなどを収集する。バックエンドでは、Fireflyが、無限の可能性を秘めた高性能なAWSを利用し、魔法のような認識機能を高速で実行する」
またDoherty氏は、「Fireflyは、AWSのコード化されたオブジェクトの巨大データベースに対して、画像やバーコード、QRコード、光学文字認識(OCR:Optical Character Recognition)、音声などを参照する作業を行う。この巨大データベースは、常にその規模を拡大している」と説明する。
IHS Technologyでシニア主席アナリストを務めるIan Fogg氏は、「FireflyがFire Phoneのハードウェアに依存しているのかどうかは不明だ」と答えている。
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