モバイル版Kaveriを投入——モバイル向けCore i7と“戦える”性能をアピール
AMDは、COMPUTEX TAIPEI 2014において記者発表会を開催し、モバイル市場向けに最適化したAPU“Kaveri”(カヴェリ:開発コード名)を、新しいモバイル版「AMD A」シリーズとして市場投入するだけでなく、同社初となるモバイル版「AMD FX」シリーズや、ビジネス市場向けの「AMD PRO」シリーズとしても展開することを明らかにした。
Kaveriは、GLOBAL FOUNDRIESの28ナノメートルSHPプロセスを採用し、x86 CPUコアを2基収めるSteamrollerモジュールを2つ搭載することでクアッドコアCPU構成をとる。GPUにはRadeon R9 290Xと同じGCN(Graphics Core Next)アーキテクチャを採用し、64基のRadeonコアを1クラスタとしたCU(Compute Unit)を8基搭載。また、オーディオDSP機能「AMD TrueAudio」もサポートされる。
さらに、KaveriはHSA(Heterogeneous System Architecture)をハードウェアレベルでサポートした初のAPUでもあり、CPUとGPUが同じメモリアドレス空間を共有できるようにすることで、データ移動などのボトルネックを排し、よりシームレスな連係が取れるようになるのも特徴だ。
同社でモバイルAPU製品を担当するケヴィン・レンシング氏(Kevin Lensing、Senior Director, Mobiility Solutions, Client Business Unit)は、「モバイル版Kaveriは、アーキテクチャや半導体的にはデスクトップ版と変わりはなく、動作周波数やCPUコア数、GPUコア数などの構成をモバイル向けに最適化したものになる」と説明する。
ただし、モバイル版Kaveriでは、これまで同社が競合製品とし得なかったIntelのモバイル版Core i7と対抗できるパフォーマンスを実現したことで、モバイルAPUのフラグシップモデルに「AMD FX」のブランドを採用することを決定したのだと語る。また、新たに追加するビジネス市場向けAPUの「AMD PRO」シリーズは、最低でも2年間の長期供給をコミットするとともに、PCベンダーの設計ごとに最適化したドライバやBIOSを提供し、動作の安定化を図る考えだ。
レンシング氏は、初のHSA対応APUとなるKaveriでは、Photoshop CCやAMD JPEG Decoderによるパフォーマンス向上が図られるとアピール。特にAMD FXシリーズでは、これまで同社がターゲットとしてこなかった、Intel Core i7搭載機などのハイエンドノートPC市場でも戦えるパフォーマンスを実現したと強調する。
また、AMD PROシリーズでは、IntelのvPro製品のような独自のセキュリティ機能拡張などは持たず、オープンスタンダードな技術のみでビジネス市場向けのノートPCを開発することで、一般市場向け製品との設計共有や、新しい技術の採用などにも柔軟に対応できるという見方を示した。
発表会場には、AMD A4-6210を採用した東芝の「L50」や、AMD A6-6310を搭載したDELLのChrombook「Inspiron 3541」、AMD A6 PRO-7050Bを採用したHPの「ProBook 445 G2」など、Kaveriを採用したノートPCが展示されたほか、東芝の4K(3840×2160ピクセル)対応ノートPC「Sattellite P50t」では、グラフィックスにAMD Radeon R9 M265Xが採用されたことも明らかにされた。
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