ソニーが今年1月に米国で行われた「2013 International CES」で発表、春に販売開始した1TバイトのHDDを搭載したホームサーバ「LLS-201」が、アップデートによってWi-Fi搭載のサイバーショット(ならびにα、Wi-Fiアダプタ装着ハンディカム)に対応した。
デジカメやスマホで撮影した動画と静止画を、パソコンレスで管理鑑賞するセットトップボックス的な製品は、トレンドマイクロ「JewelryBox」やバッファロー「おもいでばこ」など既にいくつか登場している。LLS-201はNFCおよびWi-Fiのワイヤレス接続を積極的に採用したほか、DLANサーバやプレーヤー機能、積極的なスマホ/タブレット連携機能までも搭載した意欲作といえる。
本体は縦横約17センチの陶磁器の平皿のような形状をしており、いわゆるNASとは思えない形状だ。上面にNFCを搭載しており、NFC対応機器ならばはタッチするだけで収録されている動画と静止画を本体のHDDに転送できる。背面にHDMIとUSB端子、側面にSDカード/メモリースティックスロットを搭載しており、無線転送以外の手段でも本体HDDにデータを取り込める。
本体には電源以外の操作ボタンは用意されておらず、利用に際してはスマホアプリ「PCS Manager」(iOS/Android)が必要となる。PCS Managerはスマホ/タブレットからの画像取り込み時に利用するほか、各種操作および本体の初期設定にも利用するため、スマホ/タブレットが手元にないと使えない。
そのLLS-201でできることは大きく分けて3つ。
さまざまなデバイスで撮影録画したデータの「保存」、HDMIやWi-Fi、DLNAなどをつかったマルチデバイスでの「再生」、各種SNSなどへのアップによる「共有」だ。ここでは主に各種デジカメやスマホで撮った写真を手間なく一元管理するために必要な「保存」についてを主に、LLS-201の使い勝手を見てみよう。
NFC対応スマホからの転送は快適
保存については前述のように1TバイトのHDDを搭載しており、写真なら5万枚、動画ならば80時間分(写真:JPEG2.5MB/枚、動画:AVCHD 28Mbpsでの換算)の保存が行える。その方法は(1)NFCおよびWi-Fiダイレクトによるスマホからの無線転送、(2)Wi-Fiルーター経由での取り込み、(3)USB/メモリカードスロット経由での取り込みと3つが用意されている。
(3)については特に説明する必要はないだろう。(1)のNFC利用についてはスマホ/タブレットがNFC対応しており、PCS Managerをインストールしておく必要があるものの、スマホ/タブレットを上面のNFCマークにタッチさせるとPCS Managerが起動し、Wi-Fi接続が自動的に確立し、画像/動画がLLS-201の本体HDDへ転送される。全転送とファイルを指定しての転送のほか、差分転送も設定できるので、スマホ画像の手軽なバックアップ機として機能する。
NFCを利用した自動転送はオフにすることも可能で、その際の転送方法はNFC非対応の端末(iPhoneなど)と手順はほぼ同じ。スマホ/タブレットの端末側からLLS-201のSSIDを検索して接続、PCS Managerを起動するといった流れになる。
(2)はWi-Fi搭載のサイバーショットなどの画像を取り込む際に選択する方法だ。カメラとLLS-201を直接、無線接続することはできないので、Wi-Fiルーターを用意するほか、事前にUSBケーブルを使ったLLS-201とカメラのペアリング設定を行う必要がある。準備が整った状態で、カメラ側から転送(「パソコン保存」と表記される)を選択すれば、LLS-201へ撮影した画像が転送される。
Wi-Fiでの転送に対応するデジタルカメラは、サイバーショット「DSC-HX50V」や「DSC-WX300」、ミラーレス機「NEX-5R」など同社製のWi-Fi搭載製品に限られており、なおかつ、LLS-201のファームウェアが「142-118-074」以上になっている必要がある。
今回は手持ちのスマホ(iPhone 4SならびにAQUOS PHONE Xx 203SH)、“サイバーショット”「DSC-HX50V」、ミラーレスカメラ「NEX-5R」にて転送を試した。
NFC対応スマホからの転送はかなり快適で、iPhoneからの転送も無線LANのAP切り替えという手間こそあるものの、転送自体はストレスなく行えた。ただ、PCS Managerの画面デザインは基本的に差分転送を含む全バックアップを主としているようで、大量の写真から任意の1枚だけを選んでバックアップするような使い方には適さない。
次にデジカメからの転送だが、カメラを操作してルーターへ接続する作業が必要となるほか、カメラ側のUIに依存するとはいえ今回試用した2製品については全ファイルの転送となるため、準備を含めてスマホ転送ほどの快適さはない。なにより、トータルしての所要時間を勘案すると、カメラからメモリカードを抜き出して、LLS-201のスロットに差し込んだ方が速い。無線転送自体はスマートな手段だが、転送速度や接続手段はもう少し洗練されて欲しい。
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