「営業は根性だ」「売れないのは営業が悪い」——よく聞かれる言葉だが、これは間違っている。
「確かに営業にとって根性は重要ですが、売るための『仕組み』があれば、もっと売りやすくなります。敏腕営業マンだった人からアドバイスをもらうことも大切ですが、昔と今とでは環境が違います。『モノを売ること』の難易度が高くなっている以上、時代にあった『仕組み』が重要なのです」
こう語るのは、中小企業の経営コンサルを行う船井総研のチーフコンサルタント、斉藤芳宜氏。営業が売らなければ、企業の売上は伸びない。世の中にはたくさんの営業ノウハウ本があふれているが、大切なことは少ししか書かれていない。
中小企業の経営コンサルを行う船井総研では、多くの成功事例から共通項を集めてルール化している。その作業の中で、斉藤氏は「もっと前に知っていたら成果が出たのに」という10のポイントに気付いたという。
編集部より:
本稿は、大塚商会主催セミナー「モバイルパワー2014」で行われた斉藤芳宜氏の講演「モバイルのパワーを利益に変える! 営業力を高める10の秘訣とモバイル活用術」を基に編集したものです。
営業にありがちな致命的な勘違い
冒頭に紹介したもの以外にも「営業に対する誤解」は多い。斉藤氏は「見込み客集めも営業マンの仕事」「理由はあるにせよ、売れないのは営業マンの問題」というのは、致命的な勘違いだと指摘する。
斉藤氏: マーケティング(集客)とセールス(営業)は、それぞれ求められるスキルが違いますから、分けて考えなければなりません。マーケティングに向くのは、お客さんの心を引きつけ、行動を起こしたくなるようなキャッチーなフレーズを作れる能力です。
一方、セールスには、プレゼンテーション能力、コミュニケーション能力、クロージング(交渉)能力が必要です。ところが、多くの営業研修ではプレゼンやデモのやり方、お客さんとの話し方を教えても、案件を成約に落とし込むクロージングのやり方を教えることが少ないと思いませんか? 「先輩のやり方を見て、盗め」ではなく、仕組み化することが重要です。
秘けつ1:営業とはリーダーシップである
営業マンの中には、自分がやっていることを「売り込み」「押し売り」といったネガティブなイメージでとらえている人も少なくない。斎藤氏は、その気持ちはお客さんに見透かされるという。
斉藤氏: 「もし、あなたが営業しなかったら、お客さんがどうなるか」を考えてください。ひょっとしたら、知識がないままに何かのトラブルに巻き込まれたり、悪徳業者につかまったりするかもしれません。営業マンは、その商材のプロなのですから、リーダーシップを発揮してお客さんを正しい方向へ導いていくのだと考えるべきです。
秘けつ2:ほめる
「雑談力」をテーマにした書籍が売れるように、商談前の雑談は極めて重要なプロセスだ。斎藤氏は、「アポをとって、いきなり商品説明に入るような営業マンは最悪だ」ともいう。
斉藤氏: 雑談ができないから、間が持たなくなって商品説明に入るわけです。とにかく、相手のことをほめましょう。「駅に近くていいですね」「立派なビルですね」「素敵な受付ですね」「みなさん、親切な社員さんですね」——何でもいいので、ほめることが重要です。お客さんは謙遜するでしょうが、悪い気になる人はいません。そのためには、相手の長所を発見するクセを付けることです。
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