ソニーからまたコンデジの常識を覆す面白いカメラが出た。小さくて高性能でコンパクトでギミックが楽しいサイバーショット「RX100 III」である。
そもそも2年前に出たRX100(レビュー:最強の広角系スナップコンパクトデジカメ——サイバーショット「DSC-RX100」)からしてスゴかったのである(現在も販売中)。
コンパクトと呼ぶにふさわしいサイズのボディに1インチという大きなイメージセンサーを搭載。ズームレンズを搭載したレンズ一体型カメラとしては一番大きなセンサーであり、画質的にも頭ひとつ抜けていた。「画質重視でコンデジを探している普通の人」に勧めるカメラとしては最高のデキだったのだ。
でも、2つほど気になる点があった。
ひとつはEVFを内蔵してないこと。個人的にはハイエンド機はEVFを搭載すべきだと思ってる。背面モニタでラフに自由に撮りたいときと、しっかり構えて集中して撮りたいときってあるから。
ふたつめはレンズ。望遠端でF4.9とちょっと暗くなるのと、撮影最短距離が長い(広角端でしか「寄れない」)こと。コンデジは日常的に持ち歩いて近いものも遠いものも明るい場所でも暗い場所でも気軽に使うものだから、特に「寄れない」のはひっかかる。だって、料理を撮ったり小物を撮ったり、みんなするじゃん。
3代目になるRX100 IIIはこの2つを見事に解決してくれたのだ。しかも、ほとんどボディサイズを大きくすることなく。逆にいえば、注目すべきは「EVF内蔵」と「新しくなったレンズ」の2点ってことである。
意外に実用的だった「ポップアップ式EVF」
まずは一番気になる(というか面白い)「ポップアップ式EVF」から。
RX100 IIIは非常にコンパクトながら1インチという大きなセンサーを搭載した、画質重視のハイエンドコンパクトである。2代目となるIIではチルト式モニタとアクセサリーシューの搭載でほんのちょっと大きくなった。3代目のIIIはさらにEVFを搭載したのでもっと大きくなったか、と思いきや、使ってみるとそんなことない。確かに数値的には、最もコンパクトな初代機に比べて厚みが5ミリ弱ほど増し(モニタがチルト式になったせいだろう)、50グラムほど重くなったが、EVF搭載でこのサイズは立派すぎる。十分小さいと思ってよし。
ボディサイズを変えずにEVFを搭載するにはどうするか。普段は本体内に隠し、必要な時だけぴょこんと飛び出ればいいのだ。ポップアップ式EVFってアイデアは昔からあったが(わたしも書いたことあるし)、まさかほんとに実現するとは、さすがソニー。
で、それは実用的なのかアイデア倒れなのかは使ってみて判断すべし。
ボディの側面に「FINDER」って書いてある小さなレバーがある。それを下に押すとぴょこんとEVFが飛び出す。
すると自動的に電源が入ってレンズがせり出てくる。
これだけではまだダメ。EVFをのぞいてもピントがあってなくてボケボケである。接眼部を手前に引っ張るのだ。
そうすると使えるようになる。最後に一手間あるが手順としはこれだけ。小さな接眼部が飛び出るさまはなかなか可愛い。
EVF右下の本体部分に小さなアイセンサーがあるので、EVFと背面モニタは自動切り替えが可能だ。さらに接眼部を引き出すと上に視度補正ダイヤルが現れる。
で、使い勝手はというと、予想以上に素晴らしい。
EVFの中には0.39インチで144万画素相当の有機ELパネルが入っており、表示倍率は35ミリ換算で約0.59倍。ミラーレス上位機のEVFに比べると小さいが、実用性はまったく問題なし。常用できるレベルだ。
ただひとつだけ。EVFが電源に連動しており、ポップアップさせると電源が入る。これはよい。逆に、ポップアップしたEVFをしまうと電源が切れちゃうのだ。EVFで撮っていて、「次はモニタをチルトさせてローアングルで撮ろう。あ、EVFが邪魔だからしまっとくか」となったとき電源まで切れちゃったら困るじゃないですか。設定でオンオフできるようにして欲しかった。
さて背面モニタは3型/約123万画素と高精細なもの。屋外ではやや暗く感じるが、屋外晴天モードにすれば明るくよく見える。このモニタはチルト式で、上下のみならず、180度回転させての自分撮りにも対応している。
残念ながら、従来のRXや最近のα同様、タッチパネルには未対応。画面タッチでさっと被写体を指定できるのは非常に便利なのでつけていただきたいとは思う。
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