PC遠隔操作ウィルス事件の「真犯人」を名乗る人物からのメールが5月16日、落合洋司弁護士などに届いた。同事件をめぐっては、元IT会社員の片山祐輔被告が逮捕・起訴され公判中だが、メールには、片山被告を犯人に仕立て上げるために行った工夫などが書かれている。
落合弁護士によると、メールは16日午前11時37分に送信された。この日、片山被告は東京地裁で開かれた公判に出席している。
メールは落合弁護士のほかBBC記者の大井真理子氏などに送られており、「マスコミ関係者にかなり送られている」(落合弁護士のTwitterより)という。片山被告が逮捕される前、2012年11月と13年1月に犯人を名乗る人物から送られたメールは、落合弁護士や新聞・テレビ・ラジオ関係者、ITmedia契約ライター、個人開発者の矢野さとるさんなどに送付されていたが、今回のメールは、ITmedia契約ライターと矢野さんには届いていない。
落合弁護士によると、メールの差し出し人名は「小保方銃蔵」。落合弁護士がブログで公開した文面には、「片山氏が報道ステーションやレイバーネットに出てるのを見てかわいそうになった」「有罪判決が出たら、誤判した地裁をm9(^Д^)プギャーした上で助けてあげる予定だったんですが、保釈されてしまった上に、弁護団が最強っぽいので無罪出そうな空気…地裁は保釈却下して高裁でひっくり返されるという恥をかいたみたいですし、もういいかな」などと、このタイミングで名乗り出た理由を説明している。
さらに、片山被告のPCを遠隔操作ウイルスに感染させた手口や、犯人に仕立て上げるために行った工夫、片山被告のPCに保存されてたというファイルの内容、遠隔操作に使ったトロイの木馬「iesys」の正体、片山被告が雲取山(東京都奥多摩町)や江ノ島のルート検索をしていたことを確認した上で、雲取山、江ノ島に記録媒体を残したこと、犯行声明で関与を認めていた犯行予告の原文、警察や検察への挑発——などが書かれている。
遠隔操作事件は、12年6月〜9月ごろにかけ、犯人が他人のPCを遠隔操作して踏み台にし、犯罪予告を行った事件で、踏み台にされたPCの所有者6人のうち4人が逮捕されたが、後にPCが遠隔操作されていたことが発覚した。真犯人を名乗る人物からのメールは12年10月、11月、13年1月に、落合弁護士やメディア関係者などに届き、メールに書かれたヒントなどを手がかりに13年2月、警視庁が片山被告が逮捕。片山被告はその後の公判で容疑を否認している。
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