太田市が2013年10月に運転を開始した「おおた鶴生田町(つるうだちょう)太陽光発電所」は、古墳群の中に建設した日本で初めてのメガソーラーである(図1)。2万8000平方メートルの土地に9600枚の太陽光パネルを設置して、1.5MW(メガワット)の発電能力がある。
年間の発電量は166万kWhを想定していたが、運転開始から6カ月間の実績が93万kWhに達した。夏よりも発電量の少ない冬の想定値を25%も上回った。もともと設備利用率(発電能力に対する実際の発電量)を国内の標準に近い12.6%と見込んでいたが、年間でも当初の想定を大幅に上回る見通しだ。
太陽光パネルを供給したソーラーフロンティアによると、薄膜タイプの太陽電池が効果を発揮している。太田市は市内の運動公園の斜面を利用して、2011年度から3種類の太陽電池の発電量を比較してきた(図2)。太陽電池で一般的なシリコン系の「微結晶タンデム型」と「多結晶型」に加えて、薄膜タイプの「CIS化合物型」を採用したが、2013年度の実績ではCIS化合物型の発電量が最も多かった。
薄膜タイプの太陽電池は高温の状態でも発電量が低下しにくい特徴がある。太田市がある関東の北西部では夏の気温が40度近くになることから、残り6カ月間(4〜9月)に薄膜タイプの太陽電池の効果が試される。
太田市は日照時間が長く、2012年に「太陽光発電推進のまち」を宣言して普及に力を入れている。市みずからでも3カ所にメガソーラーを運営しているが、そのうち2カ所では薄膜タイプのCIS化合物型、1カ所はシリコン系の単結晶ハイブリッド型の太陽電池を採用した。
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