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クラウド会計で常識を変える freeeが打つ次の一手

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 中小企業向けクラウド事業で急成長する新興のIT企業が現れた。その1社がクラウド型会計ソフトを展開するfreeeだ。サービス開始からわずか1年で、ユーザー数は7万事業所を超えた。理由は、中小企業や個人事業主が求めるものを提供したことに尽きる。低料金と使いやすさを武器に、全国約600万事業所への普及を図る。

簿記の知識がなくても使える会計ソフト

 freeeがターゲットにしているのは、個人事業主や従業員10人以下の中小企業。多くの会計ソフト会社は、こんな小規模な事業所を相手にしない。かたや中小企業にとって、多くの会計ソフトは高額過ぎるので、なかなか手が出ない。freeeは、そんな未開拓市場に向けた会計ソフトをクラウド上に作り上げたのだ。

 同社のクラウド型会計ソフトには、3つの特徴がある。1つは、クラウドサービスなので、ソフトウェアをインストールする必要がないこと。もちろんサーバもいらない。2つ目は、分かりやすくしたこと。具体的には、簿記など会計の専門用語を知らなくても使えるようにした。そして、3つ目が、クレジットカードや銀行口座のデータを取り込み、会計帳簿を自動作成すること。結果、経理の処理は数段速くなるという。

 料金も安価に設定する。青色申告に対応する決算書を作成する個人事業主向けが月額980円、会社法に対応した決算書を作成する法人向けが月額1980円で、それぞれ3ユーザーまで利用できる。つまり、会計士らと情報を共有できるというわけだ。簡易な無料版も用意する。

 中小企業の経営者にとって、バックオフィスの効率化は優先的に実現したいことの1つである。「簿記などの知識がなくても使えるようにした」(佐々木大輔代表取締役CEO)のは、そのためだ。従来、請求書や領収書などの書類整理から始めて、それらの数字を会計ソフトやエクセルなどに手入力する。入力するには専門知識が必要になるし、入力間違いが発生することもある。

 そこで、freeeは手入力をなくし、帳簿作成や決算書作成、請求書作成などを自動化した。簡単に言えば、銀行やクレジットカードのWeb口座情報と同期させて、最新の入出金明細をfreeeに取り込める仕組みである。日付や金額などを確認したら、会計帳簿に変換し、決算書など各種レポートを作成する。クレジット会社と提携し、利用者に手入力を少なくするためにクレジットカードの利用も勧めている。

 クラウド型会計ソフトは2013年3月にリリースしたばかりだが、ユーザー数は13年末に2万超、14年3月に一気に7万事業所を超えた。佐々木CEOは「予想以上のペースで利用者が増えている」と驚く。当初、Twitterなどソーシャルメディアに、「すごく便利なものが出た」といった口コミで広がっていった。加えて、Web広告などマーケティング活動を展開する中で、Windows XPのサポート切れと消費税率アップが重なり、14年に入ってから利用者が急速に増えたとみている。

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