←・SOHO/中小企業に効く「ディスプレイ」の選び方(第3回):見落としがちな「マルチディスプレイ」に適した液晶ディスプレイの条件とは?
画面サイズ別にマルチディスプレイ向きの製品を選ぶ
1台のPCに複数台のディスプレイを接続して使う「マルチディスプレイ」は、作業領域の拡大により業務効率の大幅な向上が図れる。前回は、そんなマルチディスプレイ環境の構築に向いた液晶ディスプレイ製品の選び方を説明した。
製品を選ぶ際の条件としては、(1)視野角が広い、(2)ベゼルが狭い、(3)画質の調整機能が使いやすい、(4)高さの調整機能が充実している、(5)縦方向への回転機能を備える、(6)VESAマウントに対応している、の計6つが挙げられる。今回はこうした条件に合致するおすすめの液晶ディスプレイ製品例を見ていこう。
本連載の第2回で紹介したサイズ別(21.5型ワイド、23〜24型ワイド、27型ワイド)の液晶ディスプレイ製品例から、マルチディスプレイに適したモデルをチェックするという流れで話を進める。
21.5型ワイドでマルチディスプレイにおすすめの機種は?
まずはローエンドにあたる21.5型ワイド液晶ディスプレイから。今メインストリームの23〜24型ワイドではなく、あえてこのサイズの製品を2台並べるケースはさほど多くないかもしれない。しかし、21.5型でフルHD(1920×1080ピクセル)という画素密度の高さを維持しつつ、横に2台並べるというのは、比較的高精細な表示や省スペースを求める環境に向いている。
27型ワイドで解像度がワンランク高い2560×1440ピクセルのモデルを1台だけ買うという手もあるが、そうなると5〜8万円程度の出費はくだらない。高解像度や複数の映像出力に対応したグラフィックスカードを併せて購入したとしても、フルHDの21.5型ワイドモデルを2台買ったほうがコスト的には安く、またレイアウト変更の融通も利く。
第2回で紹介した5製品のうち、マルチディスプレイ向けの機能を最も多く備えているのは、デルの「P2214H」だ。広視野角で非光沢のIPSパネルを搭載し、縦位置表示および高さ調節に対応したスタンドを備え、さらに液晶パネルとバックライトを含めた3年保証まで付いて1万円台というのは破格といえる。加えてVESAマウントにも対応しているので、ディスプレイアームへの取り付けも可能だ。本体正面の下部にDELLのロゴがあるものの、操作ボタンは縦横どちらの向きに設置しても違和感のないレイアウトになっているのもよい。
気になる点があるとすれば、国産メーカーの製品ほど調光系の機能が(特にソフトウェアで)充実していないことと、この画面サイズとしては本体幅がそれほど狭くないこと、また重量が5キロオーバーと重い部類に入ることだろうか。ちなみにスピーカーは非搭載だが、マルチディスプレイ用途では縦置きにして使う場合、むしろスピーカーが邪魔になることが多いので、必要な場合は外付けで接続するという考え方でよいだろう。
本体幅が狭いこと、つまり省スペースを優先するならば、iiyamaの「ProLite XU2290HS」が優秀だ。12ミリという狭額縁設計によって、第2回で紹介した5製品の中で唯一、本体幅が500ミリを切っており、横に2台並べても1メートル幅のデスクからはみ出さない。非光沢のAH-IPSパネルもマルチディスプレイ向けで、制限ある設置スペースでマルチディスプレイを構築するのに向いた製品といえる。
一方、縦方向への回転機能がないので、ディスプレイアームを使わない限りは横位置表示専用となること、3年保証ながら液晶パネルとバックライトは1年保証となる点に注意したい。
スペックだけを単純比較していると見落としがちだが、EIZOの「FlexScan EV2116W-A」もマルチディスプレイ向けの製品だ。TNパネルながら画面を下方向から見た際の色変位を調整できる機能を搭載しているので、業務用途で上下方向に画面を並べる場合にも対応できる。さらに、複数のディスプレイの色味を統一できる「Multi-Monitor Match」機能に対応するので、色味を変えた際にほかのディスプレイにすばやく反映させられるのも利点だ。
このほか、消費電力が最大でも27ワットとこのクラスの中では低いこと、他モデルに比べて奥行きが157ミリとコンパクトなこと、さらに保証期間が5年と長いこと(使用時間は3万時間以内、液晶パネルは3年以内)もプラス要因となる。縦方向への回転機能がないのでディスプレイアームを使わない限りは横位置表示専用となること、重量が5キロオーバーとやや重い点は気をつけたい。
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