KDDIは5月8日、2014年夏向け新モデルを発表した。スマートフォンは6機種をラインアップしており、このうち4機種が4K(3840×2160ピクセル)の動画撮影に対応している。発表会のタッチ&トライ会場で各製品の“4K対応度”をチェックした。
メーカー | ソニーモバイルコミュニケーションズ | LGエレクトロニクス | サムスン電子 | シャープ | 京セラ | 京セラ |
---|---|---|---|---|---|---|
製品名 | Xperia ZL2 SOL25 | isai FL LGL24 | GALAXY S5 SCL23 | AQUOS SERIE SHL25 | URBANO L03 | TORQUE G01 |
4K撮影 | ○ | ○ | ○ | ○ | × | × |
MHL | ○ | × | △(※1) | × | △(※1) | × |
外部メモリ(※2) | 最大128Gバイト | 最大64Gバイト | ||||
※1:MHL2.1のため4K伝送は不可 ※2:microSD/SDHC/SDXC |
4K撮影に対応したのは4機種で、すべて毎秒30フレームまでと横並びだ。撮影操作は通常の動画撮影とあまり変わらず、解像度の選択画面で「3840×2160」(シャープ)や「UHD」(LGエレ)、あるいは「4Kビデオ」(ソニーモバイル)を選べばいい。UHD(Ultra High Difinition)は、海外でよく使用される表記で、4K/8KなどのフルHDを超える解像度を意味している。
撮影した4K動画のファイル情報を確認すると、かなり大きめ。例えば「GALAXY S5」で5秒の動画を撮影すると31.5Mバイト、「AQUOS SERIE」では6秒で22.4Mバイトのファイルができた。端末によって差はあるが、もし本格的に4K撮影を行うのならmicroSDカードによるストレージ追加は必須だろう。なお、ファイルの拡張子はほとんど「.mp4」だったが、シャープだけは「.3gp」になっていた。
4K撮影の良いところは、動画再生の際、一部をピンチインでズームしても画面が粗くならないこと。例えばスマホの画面上で4倍程度にズームしてもドットバイドットに近い状態なのだから、キレイなのは当然だ。広大な景色、あるいは集合写真のように後で拡大してみたい被写体を撮影する場合に便利だという。
一方、4K撮影の難点として、処理が重いためHDRやエフェクトといった付加機能との併用が制限されるケースがあること。例えば「GALAXY S5」で「UHD」を選択すると、「デュアルカメラモード」や「動画撮影中の写真撮影」など、いくつかの機能が利用できないことを知らせる注意画面が表示された。
また「Xperia ZL2」でも、スローモーション撮影の「タイムシフトビデオ」や各種エフェクトを加える「クリエイティブエフェクト」モードで4K解像度を選択することはできない。動画に遊び要素を加えたいのなら、当面はフルHDでがまんすることになりそうだ。
MHL3.0対応機はソニーモバイルのみ
撮影した4K動画を見る時はどうするか。もちろんスマホの液晶画面でも再生できるが、その場合は4分の1サイズ(フルHD)にダウンスケールされてしまう。新機種の中ではLGエレの「isai FL」が解像度高めの5.5型WQHD(Wide Quad High Definition:2560×1440ピクセル)液晶パネルを搭載しているが、4Kには及ばない。
4K動画本来の解像度で視聴するには、4Kテレビもしくは4K対応PCディスプレイが必要だ。4Kテレビと接続するモバイル端末用のインタフェースとして、「MHL 3.0」が普及し始めているが、auの新製品で対応していたのは「Xperia ZL2」のみだった。「GALAXY S5」もMHLは備えているものの、バージョンが2.1のため4K伝送は不可だ。
各ブースの説明員に改めて再生方法を聞いたところ、現状ではmicroSDカード経由でPCやテレビに持って行くか、Wi-Fi DirectとMiracastでテレビ画面に表示するといった方法を想定しているという。Miracastはスマホ画面をミラーリングするためのストリーミング技術のため、テレビに出力する解像度はスマホ内蔵ディスプレイと同じだ(4Kではない)。やはり4K解像度で楽しむには、microSDカードで持ち運ぶか、MHL 3.0で有線接続することになる。
今回の発表でスマートフォンの4K撮影対応が一気に進んだ印象を受けるが、再生環境や関連機能は十分とはいえない。むしろ、4K撮影自体がスローモーション撮影などと同じ“特殊撮影モードの1つ”として扱われている印象を受けた。メーカー側も、「4K動画は重く、マシンパワーを使う。処理能力や放熱といった課題もある」(ソニーモバイル)と話しており、しばらくは市場性を見極めつつ、できるところから機能を追加していく方針のようだ。
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