NTTグループに対する規制を緩和し、NTTドコモにも他社と同様の「セット割」を解禁する動きがあるとして、KDDI、ソフトバンクモバイルなど通信・ISP・CATVの65事業者・団体は4月2日、「規制が緩和されればNTTグループの実質的な再統合となり、独占に回帰する」として、検討を慎重に行うよう求める要望書を新藤義孝総務相に提出した。
KDDIの「auスマートバリュー」など、携帯電話と固定通信をセットで契約するすることで割り引く「セット割」が好調な一方、NTTグループは電気通信事業法に導入された行為規制のためセット割で対抗できず、FTTH「フレッツ光」は苦戦している。
2月にスタートした総務省・情報通信審議会の「2020-ICT基盤政策特別部会」では「2020年代に向けた情報通信政策のあり方」について議論を行い、今秋にも報告書をまとめる予定。2月の審議会では「NTTのあり方・非対称規制についての議論が必要」といった声が出ており、NTTのシェアが低下した現状を踏まえ、同省は規制緩和を認める方向とされる。
要望書では、規制緩和に向けた報道が先行している状況から「具体的議論が進む前に議論の方向性が決まっているとすれば極めて問題」として、これまでの政策を十分に検証した上で慎重に議論するよう求めている。規制緩和については「NTTグループの支配力は依然として大きい」として、シェアの高いISP(NTTコム)、固定通信(NTT東西)、携帯電話(NTTドコモ)の相互作用が「独占回帰につながる」とクギを刺している。
2日、KDDIとソフトバンクモバイル、イー・アクセスが都内で記者会見を開き、要望書について説明。「これまでの政策をないがしろにする方向に非常に危惧を覚える。NTTグループの囲い込み力は強く、規制緩和で競争が阻害されれば、サービスの多様化や料金の低廉化などが進まなくなり、ユーザーの不利益にもなる」と主張した。近く始まる事業者ヒアリングでも各社の要望を伝えるとしている。
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