米フロリダ州にある病院Florida Hospital Celebration Healthは、「看護師の動きをトラッキングすることは、ワークフローや業務の習慣の改善に役立つ」という方針を持っている。
Florida Hospital Celebration Healthでは、Stanley Healthcare製のリアルタイム位置情報管理システム(RTLS:Real Time Locating System)のタグとセンサーを採用している。Stanley HealthcareはStanley Black & Deckerの一部門で、医療業界向けに在庫管理、セキュリティ、安全などに関わる製品を提供している。RTLSは、建物内部における動き/動線を正確にトラッキングするという。
RTLSは、もともとは、Stanley Healthcareが2012年に買収したAeroScoutの技術だ。Florida Hospital Celebration Healthは、2011年にAeroScoutと契約し、32床の手術室で試験的に導入した。その後、RTLSを導入する病室を少しずつ増やしていった。2014年夏には、救急病棟に同トラッキング技術が採用される予定だ。
超音波信号でトラッキング
Florida Hospital Celebration Healthは、フロリダ州オーランド近郊のキシミー(Kissimmee)にあるFlorida Hospital系列の病院で、非営利の医療機関Adventist Healthcareの一部門でもある。Florida Hospital Celebration HealthのAshley Simmons氏によると、同病院ではITや革新的な技術を積極的に採用する“旗艦病院”だという。
Florida Hospital Celebration Healthでは、看護師や看護助手の他、協力を申し出た数人の医師の名札に、トラッキング用のタグを取り付ける。タグから発信される超音波信号を天井に取り付けられたセンサーが検知することで、勤務中のスタッフの動きを追跡することができる。
スタッフの動きは“温度分布図”のように表示され、人の動きが最も多いエリアが分かるようになっている。これに沿ってスタッフを配置すれば、最も要求が多い患者の位置を特定できる他、人員の配置が効率的かどうかを見いだすこともできる。
Simmons氏は、「われわれの目標は、ワークフローを効率化し、スタッフを有効活用する方法を探ることだ」と述べる。同病院では、トラッキング技術の採用に不快感を示す看護師もいたという。だが、病院側は「このシステムを懲罰的な方法で用いることはない」と保証しているため、看護師らも徐々に新体制を受け入れるようになった。看護師長のPatty Jo Toor氏は、「タグの装着を義務付けられたわけではない。病院からは、“装着してもらえれば、業務の改善に役立つかもしれない”と言われただけだ」と説明する。
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