Amazon Publishingのジェフ・ベル副社長は最近、同社の2014年の意向を概説するメモを文芸エージェントへ送った。より多くの人員を雇用することが重要な要素となっており、シアトル・ニューヨーク・ルクセンブルク・ロンドン・ミュンヘンに70人を充当する考えだ。
北米外への展開はAmazonがより多くの書籍を出版し、より多くの著者を囲い込むために利用する主な手段の1つだ。最近では、200以上のタイトルを今年出版するために、ドイツで出版契約を結んでいる。
「Amazon Publishingがリリースしたドイツ語翻訳版に対する読者の反応をわれわれは喜んでいます。より多くの読者にドイツ語で書かれた素晴らしい作品をもたらすためのわれわれの努力をミュンヘンでサポートする発行人、サラ・トムシェク氏と彼女のチームの存在に興奮しています」とEU Kindle担当副社長、ジョリット・ファン・デル・メーレン氏は語った。
英国はAmazonの強力な成長セクターとなっている。同社は地元著者のと米国著者の作品を今年500タイトル展開する予定だ。
Amazonは今後のタイトルや買収を行う際の入札で積極的な役割を果たしている。同社は最近、オークションでSheil Land Associatesのエージェント、ピアズ・ブロフェルド氏を通じ、キャス・クイン氏のスリラー作品『The Thief Taker』で5けたの契約を交わし、Rogers, Coleridge & Whiteのサム・コープランド氏を通じて、マーク・エドワーズ氏とルイーズ・ヴォス氏の『From the Cradle』の契約を交わした。
Amazon Publishingは現在、15の異なるインプリント(欧米の出版社が出版物を刊行する際に用いるブランド名のこと)を所有している。今後のタイトルに対する需要を築き上げるために、同社は2013年末にKindle Firstを開始した。Amazon Primeのメンバーは1.99ドルで出版前の作品を電子書籍で手に入れることができるというもの。これは本の虫といわれるほどの本好きだけでなく、書評の競争に勝利したい人々にもアピールするものだ。
Amazonが出版した書籍を読者に届けるのは微妙な命題となっている。Barnes & Nobleは、Amazonが出版している書籍を自社書店で在庫することをあからさまに拒否し、カナダのIndigoもこれに追従した。多くのエージェントや業界のベテランは、従来の出版業界を崩壊させる最大のオンライン書店に大きな問題を見出している。
それでも、Amazonのインプリントが出版した書籍の中には、本当によく売れるものもある。歴史小説である『War Brides』(2012年)と『The Sisterhood』(2013年)の著者、ヘレン・ブライアン氏は紙書籍・オーディオブック・Kindle Editionsの組み合わせで全世界で100万部を販売するAmazon Publishingの2番目の著者となった。2013年7月に、Amazon Publishingと契約している著者、オリバー・ポッチュ氏は絶賛されたHangman’s Daughterシリーズで100万部超えを果たしている。
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