日本政府は3月18日、2020年の東京オリンピック開催を視野に入れた国防強化の一環として、全府省庁が参加する大規模なサイバー訓練を実施した。
2012年のロンドンオリンピックでは、英政府は事前に職業ハッカーを雇ってコンピュータシステムへの攻撃をシミュレートし、オリンピック開催に備えた。英政府は実際、オリンピック期間中に複数のサイバー攻撃の回避に成功しており、日本政府もこうした先例に倣いたい考えだ。
内閣官房情報セキュリティセンター(NISC)内閣参事官の三角育生氏によれば、今回のサイバー訓練には全21府省庁と10分野の主要インフラ事業者が参加。内閣府の緊急事態対応センターにサイバーセキュリティの専門家が約50人集まり、ほかにもその3倍ほどの人数の専門家が個々の持ち場で訓練に参加したという。
「これまでにもサイバーセキュリティの問題には取り組んできたが、米国と比べて後れているのは確かだ」と、IT政策担当の内閣府特命担当大臣としてサイバーセキュリティ強化に取り組む山本一太大臣は訓練前の取材で語った。
訓練にはフィッシング攻撃の手法が用いられ、政府職員や企業ユーザーが偽のWebサイトに誘導され、サーバがコンピュータウイルスにさらされるという想定で行われた。
「サイバー攻撃が巧妙化、高度化、国際化していく中、政府の対応力を高めていくことは極めて重要な課題だ」と、政府の情報セキュリティ政策会議の議長を務める菅内閣官房長官は訓練の冒頭で語っている。
ハッカー攻撃の増加
政府は1964年以来となる日本での夏季オリンピックの開催が経済を上向かせると期待している。だが一方で関係者は、日本がコンピュータハッカーの標的にされる可能性を懸念している。三角氏によれば、日本政府を狙った海外と国内からのハッカー攻撃は2013年に倍増したいう。
独立行政法人の情報通信研究機構(NICT)によれば、ハッカー対策の実験用に国内に設置しているクローズドなネットワークを狙ったサイバー攻撃の件数は2012年の78億件から、2013年には128億件に急増したという。
菅官房長官は今回の訓練に先立ちブログにコメントを投稿し、日本政府のサイトは毎分2回のペースで攻撃を受けていると述べている。
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