「しむし」で拡大するのか日本のSIMビジネス
日本Androidの会は、3月21日に「Android Bazaae and Conference 2014 Spring ANDROID REBONE」を開催した。このイベントは、主にAndroidプラットフォームをターゲットに開発を行っている技術者のコミュニティが、開発の成果を紹介したり、技術情報を共有することを目的としており、セミナー形式のカンファレンスと、開発成果を展示するブースに分かれている。セミナー形式のカンファレンスでは、日本Androidの会 名誉会長や内閣官房情報セキュリティセンター副センター長 内閣審議官による基調講演が行われたが、ここでは、石川温氏の講演と、米Google本社 Google Play 技術ディレクターのクリス・ヤーガ氏の特別講演を紹介したい。
石川温氏の講演では、Androidスマートフォンでこのところ注目されるようになってきたMVNOとSIMビジネスについて、海外の状況と日本におけるSIMビジネスの可能性について説明があった。
石川氏は、SIMロックフリービジネスが日本で拡大する1つのきっかけとして、NTTドコモの「ツートップ戦略」がメーカーの意識を変えたことを挙げる。2013年夏モデルで、NTTドコモはソニーモバイルの「Xperia A SO-04E」とサムスン電子の「GALAXY S4 SC-04E」をツートップモデルと位置付けて、価格優遇などを行ったが、その結果、NECカシオモバイルやパナソニックの日本個人向けスマートフォン事業の撤退につながったとし、そのほかのメーカーのモデルもその次のiPhone 5sと競合となった「おすすめ3機種」戦略で数十万規模の在庫になるなど、NTTドコモと関係するメーカーは大きなダメージを受けたことがメーカーのキャリアに対する“従属関係”とSIMロックフリービジネスに対する意識を大きく変えたとしている。
石川氏がMobile World Congress 2014で行った取材によると、ソニーモバイルはXperia Z Ultraで無線LAN対応モデルを自分たちで出荷し、ユーザーのサポート体制や販売網などは独自で構築できるものの、SIMロックフリーモデルの販売については「勉強中」としていて、キャリア主体の姿勢を(公には)維持している。一方で、京セラは法人向けの特定市場において、SIMロックフリーモデルを出荷しており、一部の個人ユーザーから問い合わせもあるなど、“チャレンジ”として取り組んでいるという。さらに、パナソニックでも法人市場限定の5インチディスプレイ搭載TOUGHPADをSIMロックフリーデバイスとして用意するなど、キャリア依存ビジネスからの脱却に取り組んでいると石川氏は見ている。
石川氏は、日本におけるMVNO市場の現状については、各社が1000円以下の定格SIMを相次いで投入したことと、音声通話対応プランが増えたことで、以前より認知度は上がっているものの、市場規模としては全体の1割程度、さらに、その1割の中でキャリア提供以外の“本来のMVNO”はさらに半分以下と、まだまだ限られているとしながらも、SIMビジネスについては、総務省がMVNOを支援して価格競争を狙うなど、国レベルでも支援する状況になっていることを紹介した。
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