JR東日本は3月20日、Suicaデータ社外提供の是非に関する有識者会議の「中間とりまとめ」を公表した。「事前に十分な説明や周知を行わなかったことなど利用者への配慮が不足していた」とし、引き続きデータ提供を見送るとしている。
Suicaデータの社外提供をめぐっては、利用者からプライバシー面の不安や「事前の説明・同意が不足しているのでは」といった批判を受けて停止しており、希望者向けにデータ提供の除外申請も受け付けている。
有識者会議は昨年9月に設置。堀部政男 一橋大名誉教授らに意見を求めていた。
中間とりまとめでは、Suica利用者への説明不足について「事前に十分な説明や周知を行わなかったことなど、利用者への配慮が不足していた」とし、「JR東日本という公共性の高い企業の立場からも、利用者に不安を与えた事実を重く受け止める必要がある」と報告した。
また、Suicaデータからの個人特定の可否については「個人情報の定義における特定個人の識別性の論点については、専門家の間でも解釈に幅がある」とし、データの匿名化処理や提供先である日立製作所との契約内容などから「ただちに個人のプライバシーが侵害されるおそれはない」ものの、「今後、技術の進展に伴い、特定の個人が識別され新たな問題が生じる可能性も考えられる」としている。
JR東は今後、個人情報に関する法改正の動向なども踏まえつつ「有識者会議の開催を継続し、引き続きアドバイスを受けながら検討を進める」としている。
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