コントローラーを変更し、小容量モデルでの速度が大幅アップ
CurucialのSSDは、m4シリーズからM500シリーズへと進化してきた。今回投入されたのは「M550」。型番からは500番台のまま数字が上がっただけのマイナーバージョンアップに見える。600番台を待っていた人には少し肩透かしだっただろうか。しかし、コストパフォーマンス重視だったM500に対し、M550はハイパフォーマンス寄りにシフトした製品になっている。
M550シリーズは、M500時と同様、2.5インチSATA、mSATA、そしてM.2という3つのインタフェースをラインアップしている。今回評価するのは2.5インチSATAタイプの512Gバイトモデル「CT512M550SSD1」だ。まずは外観から見ていこう。
M550は、M500とほぼ同じデザインだ。7ミリ厚(9ミリ厚に調整するためのスペーサーが付属)、シルバーのケージで、左下と右上を丸めたシールにシルバーのラインでCrucial M550の製品名がプリントされている。多少異なるのは、M500がやや水色がかったブルーだったのに対し、M550はブラックに近い深みのある色合いになったことだろうか。
裏面の4隅のネジを外して現れる基板を見ても、レイアウト面で先代M500との違いは少ない。コントローラ側では、電源端子のすぐ後ろにあるピン用の穴まで一緒で、主だったチップのレイアウトは全く同一だ。ただし裏側はやや異なり、M500 1TBモデルでは裏面にもキャッシュメモリが搭載されていたところが、M550では空きパターンになっている。ただ、基本的な設計は大きく変わっていないという印象を受ける。
それでは搭載チップを詳しく見ていこう。まずコントローラは、Marvell「88SS9189」が搭載されていた。この88SS9189については、まだMarvellのサイトにも掲載されていない。詳細は不明だが、M500に搭載されていた同じMarvellの「88SS9187」の上位チップあるいはバリエーションチップとみられる。
NANDフラッシュメモリはMicronの「3ZA2D NW386」。パートナンバーは「MT29F256G08CECABH6-10:A」で、これで検索しても何もデータが出てこないが、256ビット品であることは確かで、これを裏表合わせて16チップ搭載することで512Gバイトを実現している。また、Crucialによると20ナノメートルプロセスのMLC製品とされる。M500時も20nm MLCとされていたが、それと何か違うのか細かな点は依然不明だ。
1チップに削減されたキャッシュメモリは、Micronの「3VA78 D9RLT」。パートナンバーが「MT42L256M16D1GU-18 WT:A」というところまでは分かったが、こちらもこれ以上のデータが掲載されていない。ただ、1チップに削減されつつも製品の方向性としてはパフォーマンスを追求しているとなると、容量の大きなものを1チップということになるのではないだろうか。なお、Crucialからもキャッシュ容量に関しては検証時点ではとくにアナウンスされていない。
さて、このような点で旧モデルのM500との違いが明らかになったところで、そのほかスペックをまとめておこう。
シリーズ名 | M550 | M500 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
容量 | 128GB | 256GB | 512GB | 1TB | 120GB | 240GB | 480GB | 960GB |
NANDフラッシュメモリ | 20nm Micron MLC | |||||||
シーケンシャルリード(MB/sec) | 550 | 500 | ||||||
シーケンシャルライト(MB/sec) | 350 | 500 | 130 | 250 | 400 | |||
ランダム4Kリード(IOPS) | 90000 | 9500 | 62000 | 72000 | 80000 | |||
ランダム4Kライト(IOPS) | 75000 | 80000 | 85000 | 35000 | 60000 | 80000 | ||
MTTF(製品寿命) | 120万時間 | |||||||
総書き込み容量(TBW) | 72TB | |||||||
厚み | 7mm | |||||||
この表のとおり、M500の際には120Gバイト〜960Gバイトまで4モデルがラインアップされていたが、M550でもほぼ同様に4モデルが並ぶ。旧モデルの120Gバイトに対し、M550が128Gバイト、旧モデルの960Gバイトに対しM550が1Tバイトと、冗長性のための領域の扱いが変わったようである。まずここが1つ目の大きな違いだ。
2つ目の大きな違いはパフォーマンスの向上だ。公称転送速度は、全モデルでシーケンシャルリードが550Mバイト/秒、シーケンシャルライトは128Gバイトモデルのみ350Mバイト/秒となるほかは500Mバイト/秒とされている。ランダム時のIOPSは、リードが128/256Gバイトモデルで9万IOPS、ライトが128Gバイトモデルで7万5000IOPS、256Gバイトモデルで8万0000IOPS、512Gバイト/1Tバイトモデルで8万5000IOPSとされる。
特に128Gバイトという最小容量のモデルでは、旧120Gバイトモデルと比べてライト時で3倍近い向上とされている。ほか、リード速度も向上しているし、合わせてライト時のランダム4KにおけるIOPSも小容量モデルを中心に大幅に向上している。大容量モデルのパフォーマンス向上はもちろん、小容量モデルではよりパフォーマンスが旧モデル比で向上しており、SSDはシステムドライブとして割り切るユーザーにとって、ほどよい容量でハイパフォーマンスが得られる点でメリットが大きい。
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