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「ヤバいぐらいの手応え」 300万DLの無料漫画アプリ「マンガボックス」樹林伸編集長に聞く、ビジネスの展望と「夢」

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 ディー・エヌ・エー(DeNA)が提供する無料の漫画雑誌アプリ「マンガボックス」が快進撃を続けている。昨年12月の公開から約3カ月で、300万ダウンロードを突破。人気上位の作品は約100万人の継続読者をかかえるなど、紙の人気雑誌に並ぶボリュームだ。

 人気の秘密は、質の高い多数の作品を無料で読めること。大手出版社と協力し、「金田一少年の事件簿」の作者が描く「高遠少年の事件簿」など人気作家のスピンオフ作品を含む約40作を毎週更新。最新号と11週間分のバックナンバーは無料で閲覧できる“太っ腹”な作りだ。英語、中国語(繁体字)にも対応し、グローバルに配信している。


画像マンガボックのトップ画面。左右にスワイプすると、前号、次号が見られる
画像「高遠少年の事件簿」第一話より
画像SNSでシェアすると最新話を先読みできる機能も

 「驚愕のスピード。めちゃめちゃ手応えがあってヤバい。コンテンツをもっと充実させないと……」——マンガボックス編集長の樹林伸さんは、ダウンロード数拡大の勢いに驚く。「金田一少年の事件簿」「神の雫」など人気漫画の原作者として知られ、小説家でもある樹林さん。DeNAから乞われ、企画当初から編集長を任されてきた。

 アプリ自体は完全無料で、現時点では収益はないが、ビジネス面での勝算は十分にあるという。「日本の漫画をグローバルに成長させたい」——樹林さんはマンガボックスに、そんな夢も込めている。

縮小する漫画市場 アプリによる「立ち読み」で復活を

 日本の漫画市場は縮小の渦から抜け出せないでいる。1995年の5864億円(コミックス、コミック誌合計の推定販売金額)をピークに、2012年は前年比3.5%減の3766億円にまで落ち込んだ。

画像樹林さん。東京・吉祥寺のマンガボックス編集部にて

 縮小スパイラルを断ち切るには、「“立ち読み”を復活させるしかない」というのが樹林さんの持論だ。「コンビニの拡大と漫画市場の拡大時期は一致しており、コンビニが漫画を立ち読みできなくした時期と漫画市場が縮小し始める時期も一致している。立ち読み禁止で中高校生の新規読者の流入が減り、どの雑誌もだんだん年齢層が上がっている」

 マンガボックスは、コンビニで立ち読みするように、アプリ内で漫画を無料で楽しめる。アプリを起動するだけで面白い漫画が並ぶため、ユーザーは検索などで漫画を探す必要もなく、「テレビのように」受け身で楽しめるのが特徴だ。

 漫画をグローバルなコンテンツに「進化」させたいという思いも詰まっている。英語版、中国語版は、日本語版と同時に配信。「世界何十億という人口の1割にリーチできれば、漫画人口が10倍以上に増える。漫画が井の中の蛙から大海に出られるチャンスだ」

 現在、海外のユーザーは10万弱で、北米のユーザーが多いという。ノンプロモーションの自然増で十万まで増えたことに、樹林さんは大きな手応えを感じている。

「漫画制作はお金がかかる」 DeNAに期待した「資本力」

 実は、マンガボックスの企画が立ち上がる以前から、樹林さんのもとにはさまざまな会社からWeb漫画の編集長依頼が来ていた。だが、すべて断っていたという。「母体となる会社の規模や体制を考えると難しいのでは」と考えたためだ。

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