34型“3440×1440ドット”モデルなど「ウルトラワイド」を推進
23型フルHDで1万円台──液晶ディスプレイの低価格化が進んでいる。価格競争が主な焦点となったこの市場において、国内主流ブランドとして「Diamondcrysta」シリーズ、「VISEO」シリーズなどを展開していた三菱電機が2013年末に同市場より撤退したのは記憶に新しい。
ディスプレイメーカー各社は価格競争以外の付加価値の提供で活路を開く。例えば、ハードウェアキャリブレータ対応の正確な色表現を望むクリエイター/特定業務向けモデル、応答速度や発色表現のカスタマイズに対応するPCゲーマー向けモデル、そして最近では4K(3840×2160ドット)表示対応の“超”解像度モデルなどが「高付加価値モデル」として注目を集めている。ターゲットを特定業務/ハイクラス層に絞ることでこの層は確実に獲得しようという考えで、市場は特定業務層/ハイエンド層と一般/ローエンド向けに二分されている感じだ。
この状況下でLGエレクトロニクス・ジャパンはどう挑むか。同社は3月12日、アスペクト比 21:9の「ウルトラワイド」を主力に据えた日本市場向け液晶ディスプレイの2014年新ラインアップを発表。2014年3月下旬より順次発売する。
新製品7シリーズのうち、3シリーズ5モデルを「ウルトラワイド」モデルとし、ハイエンドの34型から中規模の29型、そして一般価格帯の25型まで豊富なラインアップで展開する方針としたのがポイントの1つだ。アスペクト比 21:9の画面は、現在主流の16:9 ワイド画面と比べ133%横に広く、一般的にシネマスコープサイズと呼ばれる劇場映画のそれと同じ比率。これまでより作業エリアが“横”にグッと広くなる特長を生かし、オフィスワーク、映像鑑賞、フォト・グラフィック・音楽編集などのクリエイター用途、PCゲーム用途で作業効率の向上が図れる。オフィスワークでは機器2台接続し、異なる画面を2分割して表示する機能「Dual Linkup」や4つのウインドウを4分割表示する「4-Screen Split」など作業性を高める機能も実装する。
ウルトラワイドとともに、2つの疲れ目低減機能「ブルーライト低減モード」と「フリッカーセーフ」を(テレビチューナー内蔵モデルを除く)全機種に標準で搭載した。ブルーライトは液晶ディスプレイ機器全般から多く発生する波長380ナノ〜500ナノメートルの可視光線。長時間の作業に目の疲れや痛み、肩こりなどの原因になるといわれている。新シリーズは色温度を約4000K(ケルビン)〜5000Kに落とす2つの手動モードを備え、ブルーライトを通常6500K表示比で83%低減する。ディスプレイへ標準搭載することで(ブルーライトカット対応の)メガネをかけ慣れない、好まない層も自然に対策できることをポイントの1つに据える。
「ブルーライト低減モードを有効にすると、色温度を落とすことで始めは黄色が強めと感じる色味になる。感覚としては蛍光灯下で新聞や書籍を見ているような質感。ただ、正確な発色を望む業務の人でなければ単体で使う分にはすぐ慣れる範囲なので安心してほしい。なにより眼精疲労が低減できるほうが有効と思う」(LGエレクトロニクス・ジャパン コンシューマエレクトロニクス販売担当の遠山涼司次長)
フリッカーセーフ機能は、明るさの調整にこれまで主流だったPWM調光方式に変え、電流量を調整して明るさを調整する「DC調光方式」の採用によりちらつきを抑制するもの。新機種はこれを全機種標準搭載とした。
「LEDバックライトの弱点として、ライトのオン/オフの落差が激しいことがある。この落差がフリッカーとして認識されやすく、これを長時間見続けると眼精疲労につながる。新機種で採用したDC調光方式は画面全体を常に一定の明るさに制御できる仕組みのため、フリッカーを抑制できるのが強み。PWM調光方式比で調整幅がやや狭く、回路が複雑になる課題はあるが、今後液晶ディスプレイに望まれる機能と位置付けて標準搭載とした。じつは一番アピールしたいポイント。ブルーライトはメガネなどでも対策できるかもしれないが、フリッカーはそうもいかない。これまでどちらかというのはあったが、かなり多数の方が悩んでいると思われる“疲れ目対策”の機能は今後両方を標準搭載する方針」(LGエレクトロニクス・ジャパンの遠山氏)
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