窪田順生氏のプロフィール:
1974年生まれ、学習院大学文学部卒業。在学中から、テレビ情報番組の制作に携わり、『フライデー』の取材記者として3年間活動。その後、朝日新聞、漫画誌編集長、実話紙編集長などを経て、現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌でルポを発表するかたわらで、報道対策アドバイザーとしても活動している。『14階段——検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。近著に『死体の経済学』(小学館101新書)、『スピンドクター “モミ消しのプロ”が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)がある。
最近ネット通販の詐欺が流行している、らしい。
2013年12月19日の国民生活センターの発表によれば、インターネット通信販売で前払いをした場合に商品が届かないなどのトラブルが急増(参照リンク)。PIO-NET(全国消費生活情報ネットワーク・システム)では、2013年4月から11月のトラブルは前年比でなんと6倍に跳ね上がっているんだとか。
6倍なんて数字を聞くと、やはり「ネット通販」は急増しているだけあって、怪しげな業者やらが増えているんだなという印象を抱く人も多いだろうが、実際は違う。
トラブルが急増した要因は、「偽通販サイト」にある。実在する通販会社を騙って、デザインなども真似をした「偽サイト」を開設し、そこへアクセスした客を口座へ振り込みをさせるというものだ。当然、いくら待っても商品は届かない。客が問い合わせをしようという時はすでに偽サイトも口座も消えているため、客からの「金返せ」なんてクレームはすべて本物の通販会社へ向けられるのだ。
これらに共通しているのは、「前払い」をうたって、とにかく金を振り込ませるという手口だ。口座の多くは個人名義で中国人の名前が多いという。
このような状況から考えれば、「ネット通販トラブル」という表現は適切ではない。「通販会社」を騙(かた)っているものの実態はなく、「振り込み」をさせるきっかけに過ぎないからだ。では、いったい何が急増しているのか?
個人的には、オレオレ詐欺などの延長線上にある、「振り込み詐欺」だと思っている。
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