価格帯別にオススメイヤフォンをピックアップし、耳の肥えた3人のレビュアーが横並び試聴を行うバイヤーズガイドの第3回。今回は実売価格で1万円から2万円のクラスだ。
イヤフォンに1万円以上をかけるなら、少しでも良い製品を手に入れたいと思うのが人情。そして手に入れたからには、その実力を存分に発揮できるようにしたい。そこで、今回の「野村ケンジの一言アドバイスコーナー」(いつの間にかコーナー化)は、エージングについて話を聞いた。
——そもそもエージングとは何でしょう?
野村氏: エージングとは、イヤフォンの持つ本来の実力を発揮するために音出しをすることです。イヤフォンは振動する駆動部品が重要な製品ですから、“慣らし”が必要なんです。
——方法を教えてください
野村氏: 理想的には、『バーンイン信号』と呼ばれる音源があるので、それを使います。もちろん普通の音源を聴いてもいい。ただし、高額製品の場合は、出荷前に聴覚チェックを行っているケースもあるので、少し固くてもそのままで十分に使えることも多いでしょう。エージングが必要なのは、むしろ低価格の製品です。
——それは意外でした。どのくらい時間をかけるのですか?
野村氏: ケースバイケースです。アルバム1枚程度で音が変わるものもあれば、何百時間もかかるものもあります。まずは48時間。ダメならプラス48時間。それでもダメなら、さらに96時間プラスします。
——……かなり面倒ですね
野村氏: 面倒ですが、効果も大きいです。私が経験した中では、100時間を超えたところで、突然低域が出だした製品もありました。それはバランスド・アーマチュア型ドライバーを複数搭載した製品でしたが、一般的にダイナミック型よりもBA型のほうが時間がかかる傾向があります。
——終了はどう判断するのですか?
野村氏: 目安は簡単。“自分が納得したら終了”です。重要なのは、あきらめないこと。『この子はもっとできるはず』と思ったら、がんばりましょう!
実は体育会系の野村氏を含む今回のレビュアーは以下の3名だ。
レビュアー紹介
1万〜2万円クラスでピックアップしたのは以下の7機種。なお、実勢売価については2月末時点のAmazon販売価格を参考にしているが、新製品のフォステクス「TE-05」についてはamazon.co.jpの価格データが存在しなかったため、定価ベースで分類している。
メーカー | 製品名 | 再生周波数帯域 | インピーダンス | 感度 | 実売価格 |
---|---|---|---|---|---|
ダイナミックモーション | DM008 | 20〜2万Hz | 32オーム | 110dB | 1万1800円 |
フォステクス | TE-05 | 10〜2万5000Hz | 13オーム | 92dB | 1万5000円(定価、税抜き) |
日立マクセル | MXH-DBA900 | 10〜2万5000Hz | 16オーム | 100dB | 1万7528円 |
オーディオテクニカ | IM-02 | 20〜1万6000Hz | 36オーム | 113dB | 1万7102円 |
オーディオテクニカ | ATH-CKS1000 | 5〜2万6000Hz | 16オーム | 106dB | 1万4800円 |
フィリップス | Fidelio S2 | 15〜2万4000Hz | 22オーム | 107dB | 1万2285円 |
ZERO AUDIO | ZH-BX700-CD | 8〜1万6000Hz | 12オーム | 113dB | 1万3635円 |
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