パナソニックとソニーは2014年3月10日、業務用次世代光ディスク規格「Archival Disc」(アーカイバル・ディスク)を策定したと発表した。光ディスク1枚当たり300Gバイト容量を実現し、将来的には500Gバイト、1Tバイト容量へ拡大させることを見据えている。
パナソニックとソニーの両社は2013年7月29日に、業務用次世代光ディスク規格の共同開発で基本合意し(関連記事:ソニーとパナソニック、光ディスクの次世代規格を共同開発へ)、現行の「Blu-ray」に代わる大容量のデータ記憶に対応する光ディスク規格策定を進めてきた。
策定したArchival Discは、追記型で300Gバイトの容量を実現する。ディスク構造は片面3層の両面ディスクで「ランド・アンド・グループフォーマット」を採用する。トラックピッチは0.225μm、データビット長は79.5nm。エラー訂正方式はリードソロモン符号を採用した。
その他、狭ピッチ化に伴い増加する隣接トラックからのクロストークを電気的に除去するクロストークキャンセル技術やPRML(Partial Response Maximum Likelihood)信号処理技術を採用し、「大容量化と高い再生信号品質との両立を実現した」(パナソニック/ソニー)という。
Archival Discに準拠したシステムは、「2015年夏以降に各社が順次市場導入していくことを目指している」という。また両社は、互いに保有する技術をベースに、1ディスク当たりの記憶容量を500Gバイト、1Tバイトに順次拡大していく計画。
両社は、「昨今、映像制作業界に加え、ネットワークサービスの進展に伴うデータ容量の増大により、ビッグデータを扱うクラウドデータセンターなどでもアーカイブのニーズが高まっている。Blu-rayフォーマットの技術開発で実績のある両社が、業務用領域において次世代の大容量光ディスク規格も積極的に推進することで、貴重なデータを次世代につなぐソリューションの提案をしていく」とコメントしている。
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