2014年2月に、LINEが3つの新しいサービスを発表した。1つは、「LINE電話/LINE Call」と呼ぶIP通話サービス。これまでのLINEユーザー同士の無料通話に加えて、LINEを使っていない固定電話回線へ1分2円〜、国内携帯電話回線へ1分6.5円〜、海外から日本にかけた場合でも1分3円〜の低価格で通話ができるというものだ。
2つ目が「LINE ビジネスコネクト」。これは現状「公式アカウント(※)」として、企業がLINEをマーケティング販促ツールに使っているサービスの拡張版となる。ポイントは、LINEが公式アカウントのAPI(外部サービスと連携可能にするプログラムの仕様)を公開することにより、企業が自社で抱える顧客データベースや業務アプリケーションとLINEを連携して使えるようになる点。これまで公式アカウントでは、友だち登録をしたユーザーに一斉配信型のプッシュ通知ができた。それに加えて、ユーザーごと個別のメッセージ配信や受信が可能になる。また将来的には、LINEが勤怠管理や予約システムの入り口として機能するなど、ユーザーと企業を結ぶさまざまな活用法が期待できる。
(※)企業がLINEユーザーと直接コミュニケーションが図れる仕組み。「友だち」登録したユーザーに企業が一斉メッセージやクーポンを送れるほか、一定時間のみユーザーが企業にメッセージを送信できるライブチャット機能などがある
最後が、LINEコミュニケーションの象徴ともいえる「スタンプ(海外ではステッカーと呼ぶ)」に関するもの。ユーザーが自作したスタンプをLINEのWebストア「LINE STORE」で販売できるようになるサービス「LINE Creators Market」だ。40個1セットのスタンプを100円で販売し、売上げの半分がユーザーに還元される仕組みとなる。
以上の3つは、「BEYOND LINE」(LINEがLINEを超える新しいサービス)、つまりLINEがメッセージアプリの枠を超えて、本格的に世の中のインフラとなっていく過程の1つとして紹介された。LINEはこれ以外にも、3月6日にはECサービス「LINE MALL」のiOS版提供開始と手数料無料化の施策を打ち出した。加えて、今後は音楽配信サービス「LINE MUSIC」などいくつかのサービスも公開に向けて急ピッチで準備を進めているという。
ここでは、2月26日に行われた「LINE Showcase 2014 Feb.」の内容を基に、3つの新サービスがユーザーと企業にはそれぞれどのようなメリットがあるのかを見ていきたい。
LINEを使っていない人とも低価格で通話
「LINE電話」は、VoIP(インターネット/イントラネットを使った音声の送受信技術)を利用したIP電話サービスだ。これまでのLINEの無料通話と異なるのは、LINEを使っていないユーザーとも低価格で通話ができること。通信に複数の大手回線事業者のプレミアム回線を採用していることから、音声品質にも自信を持つという。使用量が多いと想定される時間帯は専用回線を設けて安定した通話環境を提供するほか、OSや端末ごとのチューニングも行うことで、IP電話に起こりがちな遅延やノイズの最小化に努める。
操作も簡単だ。LINEユーザーはLINEアプリ内の「その他」から「LINE電話」を選択し、端末内の電話帳から相手の番号を選べばそのまま通話ができる。電話を受ける側には発信者の電話番号が通知され、(着信画面を見ただけではLINEから掛かってきたとは分からない)通常の電話と変わらない操作で会話ができる。
注目すべきは、低価格な料金。固定電話へ1分2円〜、携帯電話へ1分6.5円〜という価格は、国内の携帯電話事業者やLINE電話と同様のIP電話サービスと比較して安いといえる。スマートフォンに機種変更をして、通話料金が上がってしまったというユーザーもいると思うが、そうした人にとってLINE電話は、固定電話や非LINEユーザーに低価格で通話できる魅力的なサービスといえるだろう。
さらにLINE電話は、国内650万件を超える電話番号データベースから、「位置情報」「カテゴリ」「キーワード」で発信先を検索する機能も備えている。外出先で飲食店を探して、検索結果に出てきた番号にそのままLINE電話で発信する、といった使い方ができる。なお、LINEの法人向けビジネスアカウント「LINE@」を導入している一部店舗を含む約130万件へは、期間限定で無料通話ができるキャンペーンも予定されている。
LINEでは、2月27日に「LINE 電話/LINE Call」に関する情報を発信する公式アカウント(LINE ID:「@linecalljp」)を開設した。友だち登録をした先着10万人に無料で100円分の通話クレジット(国内携帯電話へ7分、国内固定電話へ33分の通話相当)を提供したところ、開設から数時間で10万人に達したため、対象者の枠を50万人にまで拡大した。LINE電話に関する最新情報を得たいユーザーはLINEの友だち追加画面からID(@linecalljp)を検索して登録をしておくといいだろう。
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