日本政府は今週、ビットコインの取り扱いに関するルールを明確化する方針だ。東京を拠点に一時は世界最大規模を誇っていたビットコイン取引所、Mt.Goxが2月28日に経営破たんしたのを受けて、日本政府もようやくこの仮想通貨の規制に乗り出した形だ。
この件に詳しい関係筋によれば、内閣は今週7日にも、現行法でのビットコインの取り扱いに関する政府見解を明確化する方針という。ビットコインは通貨ではなく貴金属などと同じ「商品」として扱われ、銀行や証券会社はビットコイン取引の仲介業務を禁じられる見通しだ。
Mt.Goxの破たんを受けて、日本政府はビットコインの取り扱いルールの明確化に乗り出した。Mt.Goxは2月28日、東京で民事再生法の適用を申請。同社は「コンピュータシステムのセキュリティの不備を突いたハッカー攻撃によって、約5億ドル相当のビットコインと現金を失った」と説明している。
ビットコインは、中央銀行のような管理主体を持たずにP2Pネットワークで取引されるデジタル通貨。オンラインプラットフォームのハッキングによる窃盗にとどまらず、既にビットコインはマネーロンダリング(資金洗浄)や贈収賄、違法製品の購入など、数々の新手の犯罪に悪用されている。ビットコインの価値はここ1年で急騰し、現在の総価値は約70億ドルとなっている。
カナダに拠点を置くビットコイン取引所のFlexcoinは4日、預かっていた約60万ドル相当のビットコインがハッカー攻撃ですべて盗まれたとして、取引所の閉鎖を発表している。
課税の問題
日本の規制当局は現在、ビットコイン取引に対する課税を検討している。ただし、ビットコインの魅力の1つが取引の匿名性の高さにあることを考えると、課税をどのように実現できるかはまだ不確かだ。
自民党の平井卓也IT戦略特命委員長は、次のように語る。「まだ状況を完全に把握できたわけではないが、消費者保護の観点から何かしらの規制が必要だ。資産課税の観点からも議論していく」
IT戦略特命委員会は5日、会合を開き、デロイトトーマツコンサルティングからビットコインに関する説明を受けた上で、消費者庁や金融庁、財務省、日本銀行、内閣府、警察庁など関係各省庁の担当者から、Mt.Goxの破たんについて把握している情報の報告を受けたという。
金融庁と財務省は「ビットコインは通貨ではないため管轄外」との立場を示し、日本銀行は「大いに関心を持って調査中である」としている。菅義偉内閣官房長官は、「関係各省庁間で緊密に連携し、ビットコインの問題に対処する」と述べている。
Mt.Goxの元関係者がReutersの取材に応じて語ったところによれば、同社はビットコインの取り扱いルールを定めるよう、過去に何度も金融庁に働きかけたが、明確な回答を得られなかったという。金融庁は先週、「Mt.Goxとはしばらく接触していない」と語ったが、かつて同社と連絡を取り合っていたかどうかについては明確にしていない。Mt.Goxの弁護士はコメントを断っている。
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