ダイソンは、報道関係者向けの「ハウスダストセミナー」を開催し、家の中に潜むアレルゲンの実体を説明した。講師は、エフシージー総合研究所環境科学研究室の川上祐司氏。川上氏によると、家の中のゴミやホコリ——いわゆるハウスダストの中にも多くのアレルゲンが潜んでいるという。
人のアレルギー疾患は、本来は自己を守るための免疫反応が引き起こす。「免疫とは、病気(疫)を“免れる”こと。自分ではないものの外部からの進入や、自分と異なるものが体内にできたりすると、それを体内から排除してきれいな体にしようとする働きだ。しかし免疫には二面性があり、生体防御の一方で、自ら生体を攻撃し、自己免疫病やアレルギー疾患を引き起こしてしまう」(川上氏)。
川上氏によると、ハウスダスト中のアレルゲンは、大きく3つに分類できるという。1つめはダニ類。例えば人に刺咬害を及ぼすミナミツメダニ、ツメダニのエサになるイエササラダニ、カビをエサにするケナガコナダニなどは、「室内塵性ダニ類」と呼ばれる。中でもヤケヒョウヒダニやコナヒョウヒダニは、アレルゲンとして問題になる「最重要種」(同氏)。コナヒョウヒダニは、ふとんやシーツなど繊維のすき間に入り込み、その中で増えてアレルゲンとなることが多い。
ダニが繁殖する条件は、気温25度以上、湿度70%以上、そしてエサとなる有機物が豊富であること。例えば、人やペットのふけ、垢、食べ物の欠片などが挙げられる。また、暗くてダニが滑り込める場所は産卵にも適しており、例えば“万年床”に近い形のベッドは条件に合致する。他にも布製ソファーなども挙げられているが、なにより「掃除が不十分な部屋」「ペット(とくに犬)を飼育している家」は要注意だという。なお、“掃除が不十分”とは、週に1回以上掃除をしていない家のこと。「そういう家ではアレルゲンも多い。3日に1回程度はしてほしい」(同氏)。
第2のアレルゲンは、約500万種類いるとされる室内発生型の小型昆虫だ。例えば古い本などから出てくることの多いチャタテムシ、小麦粉製品やドライフラワーが大好きなタバコシバンムシなどは「極めて普通に宅内に生息している」。タバコシバンムシの場合、体の表面にやはりアレルゲンとなるカビの胞子をつけているケースも多い。このほか、夜間に灯りを求めてやってくるユスリカなどの死骸も放置しておくとアレルゲンになる。「小さな昆虫の死骸は素早く取り去るべき」(同氏)。
第3のアレルゲンは、室内に発生するカビ類だ。意外にも人の役に立つ印象イメージの強い酵母菌(コウジカビ)が室内のアレルゲンになるという。「漫画の“もやしもん”で言えば、オリゼー君とニゲル君。酵母菌には善玉が多い一方、カビ毒を発生したり、アレルゲンになるケースも多い」。
では、アレルゲンを遠ざけるために有効な対策は何か。川上氏のアドバイスは明快で、「掃除が一番」。吸引力が強く、微粒粉じんを吸い取ることができ、排気口からアレルゲンを排出しない掃除機が適しており、このため同氏は、以前からダイソンの掃除機を検証に利用していた。
また川上氏によると、「ふとんからアレルゲンを取り除くためには、必ず干してから掃除機で吸い取る」ことが有効だという。「寝ている間にかいた汗でふとんの湿度が高くなっており、そのまま掃除機をかけても効果は薄い。太陽の熱効率の高い10時〜14時までの4時間にふとんを干し、4回ほどひっくり返すことがおすすめだ。その状態にしてから掃除機をかけると(アレルゲンが)よくとれる」。
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