3キャリアの中で、唯一個別に「2014年春モデル」を発表したKDDI。中でも目を引くのが、6インチ+曲線ボディの「G Flex LGL23」(LGエレクトロニクス製)と6.4インチ+薄型ボディの「Xperia Z Ultra SOL24」(ソニーモバイルコミュニケーションズ製)だ。KDDIは5.5インチ以上のスマートフォンを「ファブレット」に分類しており、5.7インチディスプレイを備えるノート型端末「GALAXY Note 3 SCL22」(Samsung電子製)も、同社のラインアップではファブレットに含まれる。
大きなディスプレイによって、タブレットとしての用途も併せ持つファブレット。6インチクラスともなると「大きすぎる」「持ちにくい」という意見もあるだろうが、実際の使い勝手はどうか。またファブレットとしての性能はどれほどなのか。今回の最新スマートフォン徹底比較では、auのファブレット3機種の特徴を、じっくりと比較していきたい。
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まずは3機種の特徴を簡単におさらいしておこう。
G Flexは、なんといっても曲面ディスプレイが大きな特徴で、フルセグやYouTubeなどの映像を臨場感をもって楽しめる。3500mAhのバッテリーも湾曲させるほどの作り込みだ。カーブデザインのフォルムは手にフィットしやすいことに加え、口とマイク、耳とスピーカーの距離が近づくので通話もしやすい。ディスプレイはHD表示(720×1280ピクセル)対応、ストライプ方式の6インチ有機ELを搭載する。
Xperia Z Ultraは、厚さ6.5ミリのボディに6.4インチディスプレイを搭載した、大きくて薄いファブレット。フルHDスマートフォンとしては世界最大の画面サイズ、世界最薄サイズを実現している。パスポートとほぼ同じ横幅なので、ジャケットの胸ポケットにも入れやすい。手書きのメモ帳としての利用も想定し、別売りのスタイラスペンや市販のボールペン・鉛筆を使っての手書き入力もできる。
GALAXY Note 3は製品名のとおり、ノートのように利用できるファブレット。本体に収納されている「Sペン」を使い、従来のNoteシリーズでもおなじみの「Sメモ」でメモやイラストを残せるのはもちろん、手書き操作用の「エアコマンド」を新たに用意。手書きの内容から電話発信やWeb検索、お気に入りのWebページや動画を切り取って保存、手書きで端末内のデータを検索、といったことができる。5.7インチの大画面を生かし、2つのアプリを1画面に同時に表示するマルチタスクにも対応している。
基本スペック:Xperia Z Ultraが豊富な機能に対応
続いて、基本スペックを比較していこう。以下の表にまとめた。OSはGALAXY Note 3が一足早くAndroid 4.3を搭載し、ほか2機種はAndroid 4.2だ。
G Flex LGL23 | GALAXY Note 3 SCL22 | Xperia Z Ultra SOL24 | |
---|---|---|---|
OS | Android 4.2 | Android 4.3 | Android 4.2 |
サイズ(幅×高さ×厚さ) | 約82×161×8.8ミリ | 約79×151×8.3ミリ | 約92×179×6.5ミリ |
重さ | 約178グラム | 約171グラム | 約214グラム |
プロセッサー | Qualcomm MSM8974(2.3GHzクアッドコア) | Qualcomm MSM8974(2.3GHzクアッドコア) | Qualcomm MSM8974(2.2GHzクアッドコア) |
ディスプレイ | 約6.0インチHD(720×1280ピクセル)有機EL(POLED) | 約5.7インチフルHD(1080×1920ピクセル)有機EL(Super AMOLED) | 約6.4インチフルHD(1080×1920ピクセル)TFT液晶 |
連続通話時間 | 3G:約1260分 | 3G:約1210分 | 3G:約1420分 |
連続待受時間 | LTE:約670時間、3G:約690時間 | LTE:約480時間、3G:約490時間 | LTE:約710時間、3G:約740時間 |
バッテリー容量 | 3500mAh(内蔵型) | 3200mAh(交換可能) | 3000mAh(内蔵型) |
メインカメラ | 有効約1320万画素CMOS | 有効約1320万画素CMOS | 有効約810万画素CMOS |
インカメラ | 有効約240万画素CMOS | 有効約210万画素CMOS | 有効約220万画素CMOS |
ストレージ | 約32Gバイト | 約32Gバイト | 約32Gバイト |
メモリ | 約2Gバイト | 約3Gバイト | 約2Gバイト |
外部メモリ | microSD(最大128Gバイト) | microSD(最大64Gバイト) | microSD(最大64Gバイト) |
防水 | − | − | ○(IPX5/IPX8) |
ワンセグ | ○(録画可能) | ○(録画可能) | ○(録画可能) |
フルセグ | ○(録画不可) | − | ○(録画不可) |
おサイフケータイ | ○ | ○ | ○ |
NFC | ○ | ○ | ○ |
卓上ホルダ | − | − | ○(付属) |
ワイヤレス充電 | − | − | − |
LTE通信速度 | 下り最大150Mbps(2GHz帯)、下り最大75Mbps(800MHz帯) | 下り最大150Mbps(2GHz帯)、下り最大75Mbps(800MHz帯) | 下り最大150Mbps(2GHz帯)、下り最大75Mbps(800MHz帯) |
Wi-Fi | IEEE802.11a/b/g/n/ac | IEEE802.11a/b/g/n/ac | IEEE802.11a/b/g/n/ac |
Bluetooth | Ver.4.0 | Ver.4.0 | Ver.4.0 |
赤外線通信 | (リモコン機能のみ対応) | (リモコン機能のみ対応) | ○ |
Miracast | ○ | ○ | ○ |
MHL | ○ | ○ | ○ |
持ちやすさ:G Flexが抜群に握りやすい
ボディサイズはディスプレイサイズに比例して、GALAXY Note 3<G Flex<Xperia Z Ultraの順に大きくなる。スマートフォンとしてはやや特殊なモデルであるGALAXY Note 3も、G FlexとXperia Z Ultraを前にすると、一番オーソドックスなモデルに見えるから不思議だ。本体の幅、高さともにXperia Z UltraはG FlexとGALAXY Note 3より10ミリ以上大きく、3機種を並べるとXperia Z Ultraの大きさが際立つ。重さも170グラム台のG FlexとGALAXY Note 3に対し、Xperia Z Ultraは約214グラムある。
6インチクラスのサイズともなると、どれだけ持ちやすいのかが気になるところ。Xperia Z Ultraのレビューでも触れたが、片手での操作は前提に考えない方がいいだろう。それでも握りやすさは重要なので、3機種を実際に操作した感想を述べたい。
G Flexは、「人間工学に基づいている」という曲面ボディも相まって、とても持ちやすい。端末を握るのに合わせて手のひらもカーブを描くので、これにG Flexがピッタリとはまる。4隅の角や側面も丸みを帯びているので手に優しい。幅は約82ミリと大きいので、片手だけで操作を続けるのは難しいが、握りやすさは抜群。G Flexを触ってからほかのフラットなスマホに触れると違和感を覚えるほどだった。
GALAXY Note 3は背面のザラザラした布のような質感が心地よく、角も丸みを帯びているので手にフィットする。背面に指紋が付きにくいのもうれしい。さすがに端から端までは指は届かないが、片手でスクロールをするだけなら問題ない。これら3機種の中では小型に思えてくるから不思議だ。
Xperia Z Ultraは幅が約92ミリもあるので、片手で持ち続けていると、だんだん手が疲れてくるので、両手操作を前提に考えた方がいい。片手で持つか、両手で持つか、最初は戸惑うかもしれない。正面から見るとスクエアな形状だが、裏面は角が削ぎ落とされているので持ちやすい。
手のフィット感、一度体験したら戻れなくなりそうな持ちやすさ、という点で筆者はG Flexを推したい。
参考までに、ズボンの前ポケットに入るかどうかも確かめた。ズボンのサイズによって異なるが、筆者が普段仕事で着用しているズボンの右ポケットに入れたところ、3機種とも問題なく入った。ただしXperia Z Ultraは、膝を曲げると端末の出っ張りが気になり、ちょっと無理があるようにも感じた。
G Flexは、ディスプレイ面を外側にして入れたら、ポケットが膨らんでしまったが、ディスプレイ面を内側(膝に当たるよう)に入れたら、見事にフィットした。なるほど、曲面ディスプレイはポケットへの入れやすさも考えられていたというわけだ。G Flexは通話のしやすさという点でも理に適っているし、手のフィット感やコンテンツの没入感も含め、使ってみると、単なるインパクト狙いでディスプレイを曲げたわけではないことを実感した。
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