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電子書店の中の人 11回目――コミックシーモアの中の人

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 電子書店、または電子書籍ストア——実際に使っているかはともかく、わたしたちはここ数年でその存在を少しずつ認知するようになった。

 とはいえ、書店と言えば、リアルの書店(実書店)を思い浮かべる方の方が圧倒的多数だろう。いつかは電子書店もそうしたものとして、今より身近なものになっていくのだろうが、現時点で、わたしたちは電子書店のことをまだよく知らない。しかし、そこにはリアルの書店と同様、「人」が介在している。

 この連載は、“電子書店の中の人”にフォーカスし、どんな人が電子書店の運営に携わっているのかを紹介しながら、その電子書店の“雰囲気”を感じてもらうためのものだ。

 第11回目は、電子書店「コミックシーモア」の中の人・NTTソルマーレ コミック事業部 村瀬香織さんに聞いた。

多彩な販売方法でユーザーのニーズに応える書店

村瀬香織さんNTTソルマーレ コミック事業部 村瀬香織さん

—— NTTソルマーレと言えば、ケータイ時代から電子書籍、特にコミック分野では業界最大手として知られる老舗ストアの1つです。村瀬さんはどのような業務を担当されているんですか?

村瀬香織さん(以下、村瀬) 私はソルマーレで働くのが5年目になります。現在は、Webサイトやアプリの企画及びサービス設計、特に画面構成の部分が主な担当です。例えば、ボタンをどこに配置すればスムーズな導線を作れるのかとか、どうすればよりお客さまにとって使いやすいストア、アプリになるかを日々考えています。

—— 村瀬さんの1日の業務はどんな作業から始まるんですか?

村瀬 会社では、お客さまからの声がメールやSNSで毎日何通も寄せられます。そのお客様の声を基にサービスの改善点について議論する「改善ミーティング」を行うのが毎日の始まりになりますね。

—— 村瀬さんの仕事の中で、大変だったものといえば?

村瀬 自分が好きなことをやっているので、そんなに「大変」「ツライ」とは思っていないです。Webサービスはお客さまの反響が顕著に表れやすく、導線が分かりにくくなると利用が落ち込んだりお叱りのメールをいただいたり、キャンペーンが面白くなかったら売上げが伸び悩んだりします。だから月並みですが、お客さまからお褒めいただいたり、売上が伸びたりといった形で結果が良いとうれしいですね。というように、大変というよりは喜びの方が大きいです。

—— 今、コミックシーモアの取り扱いコンテンツは何点くらいあるのでしょうか。

村瀬 取り扱い点数は現在8万冊ほどですね。ケータイ時代からの作品を合わせると17万点ほどです。現在コミックシーモアでは、電子書籍の販売に加えて、レンタル、月額定額の読み放題という3つの販売形態で事業を展開しています。

村瀬さん

—— コミックシーモアのユーザー属性を教えていただけますか。

村瀬 シーモアのお客様は私と同じ世代である20〜30代の女性が比較的多いです。ケータイ時代に電子コミックをご利用のお客様は、一般的に女性が多い傾向がありました。そのため、コミックシーモアでも、女性向けの特集やキャンペーンを企画し、長く愛されてきました。

 最近、PCやタブレットでは、男性のお客様も多くいらっしゃるので、男性も女性もどちらのお客様にも好まれるデザインを工夫したり、お客様に合わせた画面を制作しています。

—— コミックシーモアの、電子書店としての特徴は?

村瀬 コミックシーモアでは、電子書籍の販売に加えて、2泊3日のレンタル、月額定額の読み放題という3つの販売形態で、サービスを提供しています。お客様に合った購入方法でコミックをお楽しみいただけます。

 また、このほかに、自社編集部を持っているので、独自に発掘した作品がお読みいただけます。ここでは、女子を潤すごほうびデジタルマンガ雑誌「恋するソワレ」やオヤジに恋する新マンガ雑誌「オヤジズム」といったレーベルのオリジナル作品を発行しています。商業誌でも活躍されている漫画家さんや、まったくの新人の方の作品などを掲載しており、シーモア内でランキング上位になる作品もあったり、中には、電子から始まって紙で出版されるようになった作品もあります。

 もう1つ、レビューが充実していることです。ケータイ時代からの蓄積もあり、現在、シーモアにはユーザーレビューが約30万件掲載されています。中には、自分の好きなレビュワーさんを見つけてその方のお勧め作品を読んでいく、といった使い方をされていらっしゃる方もいるようです。

—— コミックシーモアは今年10周年を迎えますが、サービス開始時から今まででどのように変化してきていますか?

村瀬さんタブレットを手に

村瀬 この数年は、スマートフォンやタブレットの普及にともない、お客さまのご利用端末がケータイからスマートフォンやタブレットへと移行してきました。当時の電子コミックはケータイの小さな画面に向けて、1コマずつ見せるタイプでしたが、今はスマートフォンの大きな画面に向けて1ページずつ表示するタイプにシフトしてきています。ケータイ時代から多くのお客さまにご利用いただいてきたコミックシーモアにとっては、ケータイのお客さまに対応しつつ、スマートフォンのサービスも充実させていかなければならないという時期が続いていました。

 スマートフォンやタブレットが普及し、電子書籍自体がより身近な存在となったこともあって、まだまだ伸びる余地のある業界でもあると思っています。コミックシーモアにおいても、お客様にもっともっと満足していただけるサービスにするために、まだまだやるべきことがあると思います。これからもお客様から支持していただけるサービスNo1になれるよう、社員一同、力を合わせて頑張っていきたいと思います。

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