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今後5年間、年10%以上の売上高成長を目指す――アナログ・デバイセズ2014年度事業戦略

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 アナログ・デバイセズ(ADI)は2014年2月19日、東京都内で2014年度(2014年10月期)事業方針説明会を開催し高性能アナログ信号処理製品を核にしたソリューションの提供を強化し、今後5年間で年平均10%以上の売り上げ拡大を目指すことを明らかにした。

 ADI日本法人会長兼社長を務める馬渡修氏は説明会の冒頭、2013年度の業績に関して触れ、「売上高は前年度比2%減のマイナス成長となったが、2013年度第1四半期を底にして、四半期ごとに売上高は成長し、回復傾向にある。このほど発表した2014年度第1四半期業績も当初予想通りの業績で、回復傾向を維持している」とした。

 その上で、「過去5年間の売り上げ成長率は年平均7〜8%程度だったが、これからの5年間については、年平均10%以上の成長を目指すことが全社目標であり、日本法人としても目標達成を目指していく」とした。

tt140219ADI001.jpgtt140219ADI002.jpgアナログ・デバイセズの四半期売上高推移(左)と今後5年間の売上高成長イメージ (クリックで拡大) 出典:アナログ・デバイセズ

 業績拡大に向けた事業方針は、「テクノロジー」「顧客エクスペリエンス」「オペレーション」の3領域の強化を図り、注力用途市場でビジネス規模を拡大させるというもの。

 テクノロジーの強化は、「シェア1位」(馬渡氏)というデータコンバータ、高性能アンプの主力2製品分野をはじめとした製品の競争力強化に向けて、売上高の約20%に相当する積極的な研究開発投資を実施していく。「アナログ分野は多様な技術により進化する分野であり、多様な技術要素に対し投資を実施する」として、高周波プロセス、ミックスドシグナル技術、アイソレータ、自動車用MEMSといった複数の開発プロジェクトを推進していく。

tt140219ADI003.jpgtt140219ADI004.jpgアナログ・デバイセズのコンバータ、高性能アンプのシェア(左)と注力する研究開発分野 (クリックで拡大) 出典:アナログ・デバイセズ

日本のデザインセンターも強化

 技術開発は日本でも行う。以前からADIは、日本国内にデザインセンターを配置し、日本市場でニーズの高い技術開発を実施。2014年度は、センサー周辺技術やアクチュエータ関連技術の開発に注力する方針。馬渡氏は、「自動車やデジタルカメラなど民生機器、ヘルスケア機器、産業機器といった日本の顧客が世界的に強い用途市場向けに、顧客と密接した開発が必要な技術開発を行っていく」とし、日本デザインセンターの人員を増強していくことなどを示唆した。

tt140219ADI005.jpgtt140219ADI006.jpg日本のデザインセンターが取り組む技術分野(左)とデザインセンターの強化イメージ (クリックで拡大) 出典:アナログ・デバイセズ

 顧客エクスペリエンスの強化では、販売代理店、Web販売店との連携強化を継続。またオペレーション面では、コスト効率の高い生産体制、アナログ半導体製造で重要なテスト/パッケージング技術の強化を行っていく方針だ。

 「テクノロジー」「顧客エクスペリエンス」「オペレーション」という3領域を中心にアナログ半導体メーカーとして充実した体制を作りつつ、ビジネス拡大を狙う注力市場としては、「産業機器・計測機器」「ヘルスケア機器」「オートモーティブ」「コンシューマ機器」「通信インフラ」と、中小規模のメーカーで構成される市場を意味する「コアマーケット」の6市場を掲げる。

tt140219ADI007.jpg注力市場のイメージ (クリックで拡大)出典:アナログ・デバイセズ

車、通信インフラがけん引役

tt140219ADI008.jpgアナログ・デバイセズ 会長兼社長の馬渡修氏

 馬渡氏は、「特に、通信インフラ、オートモーティブ向けのビジネスは、成長のけん引役になるだろう」と期待を寄せる。

 通信インフラ市場は、通信量の拡大、通信速度の高速化が進み、主力の高精度、高性能データコンバータ/アンプ/RFデバイスといった製品需要拡大を見込む。オートモーティブに関しても、自動車の電子化の進展を受け、実績のあるMEMSセンサーや各種アナログICに加え、車内配線数を大幅に削減できるバス規格「A2B」やゼロドリフトの高精度計測を実現する「Auto Zero」といった技術IPを生かしたソリューション提案で一層のビジネス拡大を狙っていく。

tt140219ADI009.jpgtt140219ADI010.jpg通信インフラ市場(左)とオートモーティブ市場で展開していく価値提案イメージ (クリックで拡大) 出典:アナログ・デバイセズ

 コンシューマ機器市場に対しては、市場自体が低迷するものの注力市場としての位置付けは維持しつつ、高品位な映像/音響関連機器、光学応用機器、スマートフォンなどに対し「消費者の実消費行動を先読みした提案を行いたい」とする。さらに、医療機関向けの大型画像診断装置など向けで多くの実績を持つヘルスケア機器市場向けビジネスのノウハウと、コンシューマ機器市場でのノウハウを融合させて、家庭用医療機器分野の取り込みも積極的に行っていく方針だ。

 コアマーケット向けでは、webを通じた情報/ツール提供をさらに強めて、顧客が自ら課題解決できる環境作りを継続して実施。ツール提供では、ルネサス エレクトロニクスやアルテラといった半導体メーカーと連携し、互いの評価ボードが簡単に接続できる環境作りも積極的に行っている(関連記事:ルネサスとADIが両社の評価ボードを接続する基板を共同開発、「評価環境設定時間を7割短縮」)。

革新的なソリューションの提供

 馬渡氏は、「革新的なソリューションの提供により持続的な成長を達成する。名実ともにナンバーワンの革新的、かつ、高性能アナログ信号処理におけるソリューション・プロバイダとなる」とした。

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