デジカメの無線(Wi-Fi)対応が進んで久しいが、その実装方法や得られるメリット、はさまざまで、ひとくちに「無線対応」とくくれない部分もある。そこでこの連載では「デジカメと無線」をテーマに、関連するさまざまな製品をピックアップしていく。
第1回となる今回はデジカメの無線対応という意味ではかなりの古参となる、アイファイの無線LAN機能内蔵SDメモリーカード「Eye-Fi」を取り上げる。
「Eye-Fi」を3行で
—SDカードに無線LAN機能を搭載、カメラに差し込むことで無線対応にできる
—LANに参加することで、写真と動画をパソコンやクラウドへ自動転送
—転送専用のアイテム
「Eye-Fi」 ここがGood、ここがNo Good
- Good
—カメラの機種に依存しない
—パソコン&クラウドへの写真保存がワイヤレスで完結
—公衆無線LAN対応
- No Good
—初期設定にパソコンと専用カードリーダーが必要(例外製品あり)
—カメラ用メモリカードとして見ると容量が少なく、価格も割高
—多機能な分、やや設定項目が多く煩雑な印象にもなりがち
Eye-Fiは無線LAN機能をSDメモリカードに搭載することで、カメラからカードを抜き出すことなくデータの移行を実現するアイテム。移行(コピー)先はLAN内のパソコンはもちろん、各種クラウドサービスも選択でき、「ダイレクトモード」を利用すればスマートフォンやタブレットへの転送も行える。
登場から時間が経過している(日本国内販売開始は2008年末)ことから、対応するデジカメが多いこともメリットとしてあげられる。カメラメーカー各社の主要シリーズは多くが対応しており、対応製品ならば転送状態の確認やEye-Fiカードが搭載する無線機能のON/OFFなどを操作できる。
製品の特徴はすでに個条書きで書き出したが、基本的にEye-Fは「LANに参加し、パソコンやクラウドへデータを転送する」ことを主眼としたアイテムである。
具体的な利用例としては、Eye-Fiをセットしたカメラで撮影して帰宅した後、自宅の無線LANにEye-Fi装着のカメラを参加させ、パソコンのHDDやクラウドサービスへデータを自動転送するといったことが挙げられる。
この「自動転送」というのがキモ。
初期設定を済ませておけば、カメラの電源を入れるだけで撮影データは自動的に指定した場所(パソコンのHDDやクラウドサービス)に保存されるので、写真をカメラに入れっぱなしにしてしまうという事態が起きない。つまり、写真を死蔵させずに済むわけだ。クラウドとしてはevernoteやflickrのほか、facebookやmixiといったSNSも指定できる。
一方で苦手としているのが、スマホ/タブレットへの転送だ。
スマホアプリも用意されており、スマホ/タブレットへ直接画像を転送する「ダイレクトモード」もある。また、NTTドコモのAndroid端末向けに、パソコンなしでも利用できる「Eye-Fiカード 01」の販売が行われているものの、後に登場した無線対応製品に比べると、スマホ転送に関して一手間かかる印象はぬぐえない(国内では未発表だが、「Eye-Fiカード 01」のiOS対応版といえる「Eye-Fi mobi」が発表されている)
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スマホ/タブレットへの転送ができないわけではないし、スマホアプリから転送先設定が行えたり、RAW形式ファイルの転送にも対応するなど機能面では非常に充実している。ただ、本製品が元来、「デジタル写真の整理整頓の困難さを解消すること」を目的として開発されたという経緯があり、スマホ/タブレットでの閲覧及び利用が、優先度として高く設定されていない印象を受ける。
とはいえ、利用するカメラを変えても同じ無線環境を利用でき、なおかつ、ローカルストレージへのバックアップやクラウドアップロードに関しては導入することで大きな省力化を実現できる。スマホへの転送が手間という問題はあるが、クラウドへアップロードすればスマホからの閲覧も容易。自分なりのデジカメ画像運用に組み込めるならば、大きな力となってくれるアイテムだといえる。
3行まとめ
- パソコン&クラウドへのデータ転送はとても楽
- スマホ/タブレットへのデータ転送はちょっと面倒
- 撮影写真のバックアップを自動化したい人にお勧め
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