著者紹介:宮田健(みやた・たけし)
元@ITの編集者としてセキュリティ分野を担当。現在はフリーライターとして、ITやエンターテインメント情報を追いかけている。アイティメディアのONETOPIでは「ディズニー」や「博物館/美術館」などのキュレーターをこなしつつ、自分の生活を変える新しいデジタルガジェットを求め日々試行錯誤中。
ちょっと連載をお休みしている間に、ネット上ではいくつかの事件が起きました。すでに忘れそうになっているかもしれませんが、Twitterのアプリ連携を悪用した、スパムツイート事件は示唆に富んでいました。
手口を簡単に紹介しますと、まず「見出し」を書いたデマツイートを流します。例えば、誰もが知っているような芸能人が結婚したとか、お亡くなりになったといったスクープ風、あるいは有名企業の入社試験問題が「解けたらRT」といったものが確認されています。
このようなデマツイートが気になった人は、詳細を知りたいと思うことでしょう。デマツイートに併記されているURLを疑うことなくクリックしてしまいます。そのリンク先で求められる「アプリ認証」を行ってしまうと、Twitterのアカウントが乗っ取られてしまうというものでした。
このようなデマツイート&スパムアプリ連携は、手口を知っていれば防げるものです。TwitterやFacebookにおいて、アプリ連携機能は残念ながら悪用される場合が多いもの。本当に必要なアプリ以外は連携しないこと、また定期的にアプリ連携の状態を見直すことを心掛けましょう。
「デマに加担しない」が意外と難しい?
2014年2月8日土曜日、東京に大雪が降りました。明けて9日に個人的な予定があり成田空港に向かったのですが、ご存じのように朝から鉄道、バス、タクシーなどが止まっており、通常であれば朝8時30分には空港に着いているはずだったのに、お昼過ぎまで千葉駅で足止めされていました。
千葉駅で1時間ほど様子を見ていたのですが、Twitter上では情報が錯綜(さくそう)していたのが分かります。例えば、「京成スカイアクセスがもう少しで動く。いま試運転をしている」「成田線は除雪作業が1時間で終わりそう」というような情報が飛び交っていました。でも実際には、夕方まで運行が再開することはありませんでした。
どうやら、非公式な情報を信じた人も多くいたようです。Twitter上の言葉というのものは、発信する側は軽い気持ちで投稿ができるもの。でも、それをどう受け取るかは人それぞれです。
Twitter上での噂の伝搬状態をウオッチしていると、例えば「アイドルが原宿に来たらしい」という伝聞が、いつの間にか断定になります。ここまでは想定内なのですが、しばらくすると「あのアイドルが原宿に来たってマジ?」「原宿にあのアイドルが!?」というような確認ツイートが飛び交います。結果、短時間でホットワードになり、さらに投稿があふれかえります。このようなツイートの「反射」が、災害時にはノイズになり得ます。
問題は、このような「〜ってマジ?」という投稿にあまり悪意がないことです。大きくデマには加担していないかもしれませんが、結果としてノイズを大きくし、必要な情報を見つけにくくしてしまいます。面白い情報があると、思わず「つぶやき」たくなるのは分かりますが、そこをグッとこらえて、ネットではなく、身近にいるリアルな人間関係の中で共有する程度にしておきたいものです。
このままでは、信じられる情報が徐々に少なくなる
大雪における情報伝達は本当に難しい問題です。本来であれば公式の窓口が、公式サイトなど分かりやすい場所に、情報をリアルタイムに載せることが望ましいでしょう(残念ながら、2014年2月9日のJR、京成公式サイトはともに朝6時ころの情報が5時間以上アップデートされていませんでした)。
そして、一般の人がTwitterで情報発信を行うには、その情報が誰からのものなのか、いつのものなのかを明記すべきだと思いました。もちろん、公式サイトなどの情報があるのであれば、そこを参照すべきでしょう。写真は一番現状が伝わるものですが、いまや過去のセンセーショナルな写真を、いかにも今、自分が撮影したかのように投稿するユーザーが増えてしまい、結果としてあらゆる情報の信ぴょう性を下げてしまっています。
残念ながら、もうTwitterは「信頼できる情報源」にはなり得ないのかも、というのが、今回の大雪を体験した筆者の感想です。Twitterのタイムラインは、そのうちメールのようにスパムの温床になってしまうのでしょうか。筆者の中では、まだ解決策が見つかりません。
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