ルネサス エレクトロニクスは2014年2月6日、2014年3月期第3四半期(2013年10〜12月)連結決算を発表した。自動車向けが堅調で、同四半期営業利益は300億円と前四半期に続いて、ルネサス エレクトロニクス発足以来の四半期最高営業利益を達成した。また第3四半期単独の最終損益も、モバイル事業の売却益などから230億円の黒字を計上。四半期ベースの最終損益が黒字化したのは、発足以来初。
自動車向けが「非常に好調」
2014年3月期第3四半期の売上高は2156億円で前四半期比1%減。2月6日、都内で開催した決算説明会で、取締役執行役員常務兼CFOの柴田英利氏は第3四半期売上高について「自動車向けが非常に好調で、季節性要因での減収をカバーできた」と評価した。
営業利益は、為替影響や研究開発費、固定費抑制効果で前四半期比191億円改善し、300億円を達成。2010年4月のルネサス エレクトロニクス発足以来の最高の営業利益を2四半期連続で更新した。なおルネサスでは、2013年10月30日の第2四半期決算発表時点で、第3四半期の営業利益予想を160億円としていた。当初予想を超えた要因として柴田氏は、「想定以上の売り上げ/生産増に伴い利益が増加したとともに、収益志向の徹底による費用減があった」と説明した。
旧ルネサステクの2008年4〜6月、旧NECエレの2004年10〜12月以来
ただ、最終損益については、鶴岡工場(山形県)の資産譲渡(関連記事:ルネサスの工場再編にメド、鶴岡工場をソニーに売却)に伴う減損処理やモバイル向け半導体事業の海外子会社閉鎖に伴う特別退職金など164億円の特別損失を計上したものの、モバイル向け半導体事業の譲渡(関連記事:潰れるはずだったルネサスモバイル、ブロードコムが買収)などに伴う155億円の特別利益があり、230億円の利益を計上した。四半期最終損益の黒字化は、2010年4月の発足以来初。発足以前にさかのぼると、旧ルネサス テクノロジが2009年3月期第1四半期、旧NECエレクトロニクスが2005年3月期第3四半期に計上して以来の四半期最終黒字の計上となった。
製品分野別の第3四半期売上高では、主力のマイコンが前四半期比1.1%増。自動車向けは前四半期比増収だったが、汎用マイコンは減収だった。アナログ/パワー半導体は前四半期比0.1%増。SoCは、不採算製品の終息影響などもあり前年同期比3.3%の減収となっている。
第4四半期の見通しについて柴田氏は、「自動車向けや中小型パネル向け表示ドライバICが引っ張る一方で、前向きな選択と集中による売り上げ減や季節要因で(第3四半期比)減収を見込んでいる」とし、営業利益も第4四半期は40億円まで黒字幅が縮小すると予想。最終損益についても、第4四半期中に企業年金基金統一や事業/生産構造改革関連費用など290億円の特別損失が発生する見込みから再び赤字となる見込みだ。
その結果、通期連結業績は売上高8225億円(前年比4.7%増)、営業利益547億円(前年は232億円の損失)、最終損失218億円(前年は1676億円の損失)を予想。最終損益は赤字となるが、発足初年度以来の通期営業黒字を達成する見込みとなった。
国内外での人員構成比を是正へ
柴田氏は、これまでの構造改革に関して「一定の成果を上げている。でも、“一定の成果”であり、まだまだ山を登っていかなければならない。現状の損益分岐点は、(年間で)7000億円を超えたあたり。構造改革は引き続きやる必要がある」とさらなる固定費削減を示唆した。従業員の一層の削減については、「適正な値などは決めていないが、フリースケール セミコンダクタや、STマイクロエレクトロニクス、インフィニオン テクノロジーズ、テキサス・インスツルメンツといった競合とのコスト構造、従業員数の比較が重要だ。もう少し総数もスリム化する必要があると思うが、それ以上に国内外の人員構成比が(ルネサスは国内比率が高く競合と)異なる。為替変動への対応力を高めるためにも時間をかけて変えていきたい」と語った。
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