ソニーは2月6日、「VAIO」ブランドで展開してきたPC事業を投資ファンドの日本産業パートナーズに7月1日付けで譲渡することで合意したと発表した。「モバイル領域ではスマートフォン/タブレットに集中し、PC事業を新会社へ事業譲渡することにより新会社のもとでVAIOブランドPC事業を存続させることが最適であると判断にいたった」としている。ソニーが発売するPCは2014年春モデルが最後となる。
新会社は独立した事業会社として、VAIOブランドのPCの企画から開発、販売まで事業全体を運営。当初は日本を中心に個人向け・法人向けを展開する。新会社にはソニーが5%を出資する。
ソニーは1996年に「VAIO」ブランドのPCを発売。「銀パソ」ブームを作った「505」シリーズやカメラを搭載した横長の「C1」シリーズなどで人気を集めた。だがPCのコモディティー化が進み、アジアメーカーなどとの価格競争が激化。タブレットの普及も逆風となり、2012年度の出荷台数は760万台とピーク時から100万台以上減少し、赤字に陥っていた。
13年度は当初750万台を見込んでいたが、昨年10月には580万台へ大幅に目標を引き下げた。エレクトロニクス事業の収益改善のため、株主やアナリストからはPC事業の売却を含む抜本的な改善を求める声が上がっていた。
日本産業パートナーズはみずほ証券などが事業再生を目的に設立した投資ファンド。子会社の外部への切り出しに実績を持ち、1月末にはNECからNECビッグローブを取得することを発表している。
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