スマートフォンやタブレットが爆発的に普及するなか、教育にもIT化の波が押し寄せている。最近では、小学校や中学校の教育現場でタブレットを利用する例も出てきた(参考記事:児童ひとり1台のWindows 8タブレットを──「21世紀型スキル育成授業」、MSとレノボが共同で支援)。
ベネッセコーポレーションは2月4日、子ども向け通信講座「進研ゼミ」で、オリジナルの学習用タブレット端末(Android)を2014年4月に導入すると発表した。対象となるのは小学校の1〜5年生、中学校の1〜3年生、および高校1年生の計9学年だ(小学6年生については2015年4月に開講予定)。
デジタル時代の“赤ペン先生”
進研ゼミでは2013年4月から中学1年生向けの講座でタブレットを導入しており、受講生の6割にあたる約16万人がタブレットを利用。4月の学習取り組み率が3割近く向上したという。小学校から高校まで9学年への拡大導入は、この1年間で得た知見を生かした取り組み。タブレットは教材を一定期間(小学生は6カ月、中学生は12カ月、高校生は21カ月)一括で申し込むと希望者に提供される。小学生の場合はタブレットを使うコース(チャレンジタッチ)とタブレットを使わないコースの両方を用意する。
記者発表会では、ベネッセホールディングス代表取締役社長の福島保氏が「タブレットの導入という部分に注目する人も多いと思うが、本質はそこではない。デジタルツールの利用はあくまで新しい手段の1つだ。逆にデジタルだからこそ、人との関わりや子ども同士のつながりを実現できる」とアピールした。
これまでも、進研ゼミではニンテンドーDS用のゲームソフトを開発したり、PCを使った学習講座、iOS向けアプリといった“学習のデジタル化”に取り組んできた。しかしその一方で「赤ペン先生のように生徒と密にコミュニケーションを取る機能が失われていた」(福島氏)という。今回、タブレットを活用した学習を提案するにあたり、福島氏は「今まで“デジタル”をコンテンツを提供する手段として捉えていたが、子どもとのコミュニケーションをサポートをする方法としても利用できると分かった」と述べる。
関連記事
- あなたならどう使う? iPadと連動するデジアナ知育玩具「Tangiblock」
ひらがな1文字が書かれたブロックをiPadに乗せると、その文字に関連するアニメが動き出す。ベネッセがMITメディアラボと共同開発した知育玩具だ。 - 86.6%の人が、英語教育に不満を持っている
子どもを持つ親は、日本の英語教育についてどのように感じているのだろうか。未成年の子どもを持つ親に聞いたところ、86.6%が「日本の英語教育に不満」と回答した。楽天リサーチ調べ。 - ゆとり教育で育った世代は、本当に仕事ができないのか
「若手社員が思うように育たない。その原因は“ゆとり教育”にある」と思っている人もいるだろう。しかしこの考え方は、本当に正しいのだろうか。原因は学校教育にあるのではなく、バブル崩壊以降の働き方の変化にあるのかもしれない。 - 体育会系の人間はもう要らない!? 夏野剛氏に聞く、グローバル時代に必要な教育
ITの普及で新しい働き方が可能となったいま、多様性のある人材を育てるには「自分のやりたいこと」と正面から向き合える教育環境を整えることが必要だと夏野剛氏は述べる。 - 新入社員の即戦力化に時間がかかるワケ——スマホ世代に有効な教育とは?
平成生まれの若手社員に「打たれ弱い」「ハングリー精神がない」「競争心が薄い」。そう思ったら企業側はまず彼らを理解し、効果的な教育環境を整える必要がある。 - これだけはやっておきたい——入社までの内定者教育
10月に入り、多くの会社が内定式を開いたことでしょう。人事担当者は内定式を迎えられたという安心と、一方で入社までの対応に不安を感じている人もいるかもしれません。今回は、入社までにこれだけはやっておきたい内定者教育について考えてみましょう。
Copyright© 2014 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Facebookコメント