2013年3月20日に韓国で発生した大規模サイバー攻撃、通称「320サイバーテロ」。金融機関や放送局のコンピュータの一斉ダウンを引き起こした320サイバーテロは、どういった経緯で発生したのか。企業が学び取れる教訓と対策とは。韓国政府のタスクフォースメンバーとして320サイバーテロを解析した、セキュアソフト CERT所長のソン・ドンシク氏の話から明らかにする。本稿は、2013年5月にセキュアソフトとラックが共催した「SecureSoft SECURITY FAIR 2013」でドンシク氏が講演した内容をまとめた。
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攻撃の被害:金融機関や放送局で発生、数十億円の被害も
320サイバーテロが引き起こした被害は大きい。韓国全土に支店がある農業協同組合中央会(農協)では、現金自動預払機(ATM)1万6000台が停止に追い込まれた。大手都市銀行である新韓(シンハン)銀行では、支店取引やインターネットバンキングが停止。済州(チェジュ)銀行では、320台の業務用クライアントPCが動作不能になり、取引不能に陥った。