—— 2013年も様々なセキュリティ事件が発生し、社会の関心事になりました。
河村 ITセキュリティに対する関心が企業や官公庁から個人レベルに至るまで非常に高まっていますね。モバイルやソーシャルメディアだけではなく自動車や家電もインターネットにつながるようになる、いわゆる「Internet of Things」の世界が広がりはじめ、セキュリティのリスクを懸念する声が聞かれるようになりました。
企業や組織ではセキュリティ対策を担う人材をどのように育成すべきか、セキュリティレベルを継続的に高めていくにはどうすべきか、といった悩みを抱えています。有事の際にはサイバー攻撃の手口や被害状況をリアルタイムに分析、調査して対応しなければなりませんが、このためのリソースが圧倒的に足りていない状況です。
このため、シマンテックではお客様の日々のセキュリティ対策の運用管理を支援するマネージドセキュリティサービス(MSS)や人材育成に力を入れています。例えば、かつてはオフィスの警備を自社で行うケースが一般的でしたが、現在では専門の警備会社に委託しています。専門会社の強みは、万一の際に迅速に対応するのはもちろん、犯罪の手口や対策のための豊富なノウハウにあり、顧客企業もそこに価値を感じています。企業のITセキュリティでもこれから同じようになるのではないでしょうか。
—— 企業のIT環境ではデータや情報の管理に課題を抱える声も聞かれます。
河村 当社のビジネスに照らすと、2013年はデータのバックアップに関する引き合いを多数いただきました。シマンテックとしてはデータや情報を保護する取り組みを長年続けていますが、昨年は多くの企業が仮想環境やクラウド環境におけるバックアップの難しさや重要性に直面されたという印象を受けます。50〜100台程度の仮想サーバを運用している環境では人海戦術で対応できていたものの、500台を超えてくると一気に問題が表面化するという声が数多く聞かれました。
そう考えてみると、仮想化が本当の意味で普及したのは2013年だったのではないかと思います。当社としても数多くのパートナー企業と連携、協調しながらお客様も課題を解決するソリューションの提供に取り組んだ一年でした。
—— シマンテックのビジネスにとって2013年はどんな状況でしたか。
河村 2012年に新CEOのスティーブ・ベネットが就任し、破壊と創造への取り組みが加速した一年でした。組織も大幅に変わりましたが、それによってこれまで以上にお客様と向き合い、ソリューションのご提供に集中できる風土に変革しましたね。製品の開発方針やリリースの時期が再検討され、当初の予定から遅れてしまったものもありましたが、2014年は満を持してお客様にご提供できる準備を進めているところです。
—— 2014年の事業戦略をお聞かせください。
河村 お客様のITに対する投資の意欲に積極性を感じています。グローバル市場への対応やワークスタイルの変革といった新しい取り組みを推進していくためには、セキュリティを担保しなくてはなりません。ITのもっと便利に使っていくためのセキュリティをご提供することがシマンテックのミッションです。
例えば、MSSではこれまでセキュリティの脅威を監視、分析し、お客様の対策に必要な情報を提供することが中心でした。今年は一歩進んで、お客様を狙う標的型サイバー攻撃の発信源を追及したり、万一の際にエキスパートがお客様のもとに駆けつけて一緒に対応にあたるといった取り組みを推進します。
また、企業のセキュリティ対策はこれまでセキュリティレベルを一律に保つことが理想とされてきましたが、実際には部門や拠点ごとに求められるレベルは異なります。理想に合わせることは大切ですが、それによってITの利便性が損なわれてしまうと問題もあります。シマンテックとしては、平時には実態に即したセキュリティレベルと利便性のバランスを保ち、万一の際に瞬時にセキュリティレベルを高めて防御するソリューションをご提供する予定です。
さらに、2013年は使い回されたパスワードが原因となって不正アクセスを仕掛ける攻撃が横行しました。ユーザーが利用するIDやパスワードの数や種類が多く、その管理はあまるにも大変です。そこで身近なものを活用し、IDやパスワードをユーザーに負担の無い形で保護するユニークなソリューションもご提供したいと考えています。
バックアップやストレージ分野では2013年に生まれ変わった新たな体制のもとで、専門性の高いソリューションを当社、パートナー、システムインテグレーターの三位一体でお客様に提供していく所存です。
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