Qualcommは、5GHz帯を使用するLTE-Advancedに対応するための技術を開発したと発表した。モバイル端末のデータトラフィックは今後、1000倍に急増するとみられており、この新技術によって対応することを目指す。免許不要の帯域では今後、携帯電話通信とWi-Fiとの間で奪い合いが起こることが予測されるため、早い段階での対応を目指す動きだといえる。
Qualcommの新技術は、今のところまだ試作の段階であり、対応製品に関する情報も明らかにされていない。このため、「増大の一途にあるモバイルデータに対応するために5GHz帯を利用するのは、本当に最善策だといえるのだろうか」という疑問さえ生じる。現在、モバイルデータの大半は、電波法で割り当てられた周波数帯(ライセンスドバンド)である3GHz帯以下の帯域を利用する携帯電話通信において伝送されている。
免許不要の周波数帯を携帯電話通信とWi-Fiで争奪か
Qualcomm Atherosなどをはじめとするベンダー各社は、5GHz帯を利用するさまざまなWi-Fi対応製品を投入している。なかには、現在増加しているスモールセル方式の無線基地局において、5GHz帯だけでなく60GHz帯を利用するベンダーもある。また、次世代セルラー通信技術の開発メーカー各社は、5G〜60GHzのあらゆる帯域を利用する携帯電話通信サービスの開発を進めている。
Qualcommのテクニカルマーケティング担当シニアディレクタを務めるRasmus Hellberg氏は、「増大するデータに対応するための土台として、スモールセル基地局の設置数をさらに増やすとともに、新しい導入モデルの開発と導入手法の低コスト化を実現する必要がある。免許不要の帯域は、モバイル通信の効率的な切り替えを自動化する上で理想的だといえる。なぜならLTE-Advancedは、データ量が増大すると、ノード間のスケジューリング調整や同期化を行うことによって処理性能を高められるため、ノード数が多い方がうまく機能するからだ」と述べている。
Hellberg氏は、「免許不要帯域を利用するLTE-Advancedは、長距離への対応や制御性、高い信頼性、シームレスなエンドユーザーエクスペリエンスといった利点を備えているため、キャリアWi-Fiよりも優れているといえる。さらに携帯電話通信事業者にとっても、統合型の携帯電話通信サービスから得られるメリットは大きい」と述べている。
Qualcommは、対応製品に関する詳細を明かしていないが、Hellberg氏は、「LTE-Advanced機能は将来的に、SoCに搭載されるようになるだろう」と述べている。米国のコンサルティング会社であるJ Gold Associatesでアナリストを務めるJack Gold氏は、「SoCへの搭載を実現するには、今後まだ3〜5年を要する見込みだ。Qualcommは今回の発表を急ぎ過ぎたかもしれない」と述べる。
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