日本マイクロソフトは1月27日、研究・開発の最新動向を発表した。「デバイス&サービス カンパニー」への変革を目指し変わる開発プロセスを紹介し、今夏米国での発売を予定する新Kinectセンサーのデモも行った。
米Microsoftのスティーブ・バルマーCEOは2012年秋、「デバイス&サービス カンパニーへの転換」を掲げた。ユーザーそれぞれの持つ個々のライフスタイルにあったデバイスに、家庭でもオフィスでも外出先でも横断的に使えるサービスを提供し、総合的に生活の質を高めていくというコンセプトだ。
このコンセプトを踏まえ昨夏、グローバルに組織改編を実施。従来の「Windows」「Xbox」など製品ごとのグループではなく、OS、アプリケーション&サービス、クラウド&エンタープライズなど5つの機能別の開発部門に刷新。研究部門Microsoft Researchとの連携をさらに密にし、「One Strategy, One Microsoft」として、多岐に渡るデバイスやソフトウェア、サービスの開発をより効率的かつイノベーティブに進めたい考えだ。
それに伴い、開発プロセスにも大きな変化があったと日本マイクロソフトの加治佐俊一CTOは話す。開発サイクルは大規模なプロジェクト管理に基づき従来3年単位だったが、1年程度に短縮。アジャイル開発も導入し、小規模な機能開発への取り組みなど、日単位・月単位で動けるようになったという。「クラウドファースト」「の開発環境整備も推進していく。
研究部門であるMicrosoft Researchではさまざまな取り組みを進めている。大気情報を数カ所で計測し、気象情報や交通情報などのビッグデータを組み合わせて都市全域の大気汚染の状況をリアルタイムに予測・表示する「U-Air」や、3Dモデルに表情や音声を合成する技術「3D FACE」、Kinectを用いて体の動きから3Dフィギュアを制作する「BodyAvatar」などで、3月に米国で開催する「TechFest 2014」で詳細を発表し、Webで公開する予定だ。
今夏米国での発売が予定されている新型Kinectセンサー「Kinect for Windows v2」のデモも行った。1080pの高精細RGBカメラを搭載し、最大6人まで同時に認識。25の関節を捉え、骨格や手のひらの向いている方向などより細かい動きのトレースが可能になった。筋肉の負荷を色で示したり、加速度をアニメのようなエフェクトで表現するなどビジュアルも進化。表情と関心度をリアルタイムに認識し、肌の赤みなどから心拍数を測定することもできる。
同機器は現在、開発者向けにプレビュー版の本体とSDKを提供するプレビュープログラムへの500人の追加募集を参加費用399ドルで募っている。
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