ソーシャルでビジネスはこう変わる——IBMのソーシャル伝道師、サンディ・カーター氏
今やビジネスを語る上で欠かせないもがソーシャルネットワークサービス。ビジネスプロセスに取り込むことで、業務はどう変わるのか。IBMのソーシャルエバンジェリスト、サンディ・カーター氏が解説した。
「グローバルでは80%以上の企業がソーシャルを活用しており、73%のCEOがソーシャルは重要な顧客接点だと確信している」——。こう話すのは、米IBMのバイス・プレジデントでソーシャルビジネスのエバンジェリストとして知られるサンディ・カーター氏だ。
モバイルの普及とソーシャルサービスの発展に伴い、人々は時間や場所を選ばず意見を述べたり、好みや共感を伝えられるようになった。そしてソーシャルサービスを通じて生成された情報を整理し、分析することでビジネスに役立つ情報に生まれ変わらせようというのがIBMの戦略だ。
ソーシャルの活用は、ビジネスをどう変えていくのか——。5月30日に開催された同社の年次イベント「IBM Connect Japan 2013 in Tokyo」(大阪は6月7日、名古屋は7月5日開催)でカーター氏が、事例を交えて紹介した。
ソーシャルはビジネスをどう変えるのか
ソーシャルは、ビジネスをどう変えるのだろうか。カーター氏は、警察署とセメントメーカー、政治家の例を挙げる。
警察署の事例は、ソーシャル情報を分析して犯罪の相関関係を見つけ、適切な対策を講じることで犯罪発生率を30%削減したというもの。セメントメーカーは、新たな工場を建設する代わりにソーシャルネットワークを構築することで、グローバル向けの製品をこれまでにない速さで提供できたという。選挙運動でも、従来のように世論に依存するのではなくソーシャルを活用することで、激戦州の最終投票数を0.2%という誤差の範囲で予測することが可能になるなど、さまざまなケースで効果が現れているとカーター氏は説明する。
「ソーシャルビジネス、ビッグデータ、分析の3つが収束してビジネスを固めつつある」というのが同氏の見方。これに「専門知識と信頼」「個人に対する価値の創出」「企業文化としてのイノベーション」「生産ラインとしてのソーシャルネットワーク」「リーダーシップ」5つのトレンドが影響を与えているという。
専門知識と信頼は、ソーシャル技術によって得られるメリットの1つだ。ビジネス環境がめまぐるしく変化する中にあって、信頼できる専門家や情報源の発見と確保は企業にとって重要な課題となっている。これがソーシャルネットワークを分析し、相互関係を可視化することで容易に発見できるようになる。IBMが提供するソーシャルウェア「IBM Connections」にも、専門家を見つけ、情報を共有するための機能が用意されている。
個人に対する価値の創出は、今後のビジネスに重要な要素だ。従来のマーケティングでは、セグメントや統計学的な属性データでターゲティングをしていたが、今後はいかに個人をターゲティングするかが重要になるという。例えば、顧客満足度が5位だったRBC(Royal Bank of Canada)は、ソーシャルネットワークを分析して個人別のターゲティングを行い、顧客がサービスの専門家に相談できるようにしたところ、顧客満足度が1位になったという。
企業文化としてのイノベーションは、競争力の向上に欠かせないものだとカーター氏。ソーシャルはその強力な武器になると話す。その一例として挙げたのは、ソーシャルネットワークを通じて広くアイデアを募り、それを活用することで魅力的な新製品を開発することができたCOACHの事例だ。12〜24歳の消費者にリーチできていなかった同社は、ソーシャルネットワーク上で若者向けのバッグのアイデアを募るコンテストを実施したところ、600万人が参加。ブランド認知の向上に成功したという。
生産ラインとしてのソーシャルネットワークは、今後全てのビジネスプロセスに追加されるとカーター氏は見ており、その変革は始まっていると話す。「カスタマーサービス、マーケティングサービス、製品開発が変わり、人材採用も変わる」(カーター氏)。ソーシャルは社内の情報共有にも役立つといい、その例として人事での活用が紹介された。社内ソーシャルを分析することで、従業員が仕事に対してどんな思いを抱いているか、どんな改善を望んでいるかを把握でき、先手を打って対応することで、価値の高い社員を失わずにすむという。
こうしたビジネス環境の変化に伴い、リーダーに求められる資質も変わってくるというのがカーター氏の見方だ。「新しいことに前向きに取り組み、リスクを取れる人。アイデアが生まれたらそれを検討し、活用できる人がこれからのリーダーになれる」(カーター氏)。
カーター氏は、ソーシャルビジネスを成功させるためには、分析機能を利用して“今起きていることを理解して行動すること”が重要だといい、そのためにすべきことを紹介している。
同氏はまた、「ソーシャルの活用を成功させるためには、社内外をうまく連携させなければならない」とし、ソーシャルをビジネスに活用しない企業は、5年後、またはそれ以内に競争力を失うと予言している。
同氏がバイスプレジデントを務めるIBMは、ソーシャルビジネス分野の製品開発に注力しており、同社のグループウェア「IBM Notes/Domino 9」はソーシャル機能を実装。ソーシャル機能をよりアグレッシブに使いたい企業向けには、ソーシャルウェアのIBM Connectionsを提供している。
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