独立行政法人情報通信研究機構(以下、NICT)と日立国際電気が、テレビ放送帯のホワイトスペースを用いた長距離ブロードバンド通信の実験に成功した。ホワイトスペースの活用に加え、災害時などにおける通信回線の支援システムとしても期待される。
ホワイトスペースとは、放送など特定の目的のために割り当てられているものの、地理的な条件や時間的な条件によって、ほかの目的にも利用できる周波数帯のこと。通信用周波数が逼迫(ひっぱく)する中、その解決法の1つとして検討が進められている。
実験は、岩手県遠野市で実施された。IEEE 802.22に準拠した無線通信システムを用い、12.7キロメートルの距離がある基地局と端末の間で下り5.2Mbps/上り4.5Mbpsのデータ通信に成功したという。さらに、これをバックボーンのリンクとして、IEEE 802.22端末にエリア展開が可能なIEEE 802.11afのアクセスポイントを接続して中継局を構成し、マルチホップネットワークを構築することに世界で初めて成功した。
また今回の実験では、道路や崖の監視、テレビ電話のような実際の利用シーンを想定した検証も行っており、「有線ネットワークの利用が困難な地域における通信確保だけでなく、災害時における通信回線の支援システムとしての利用も期待できる」(NICT)としている。
今後は、実験結果を踏まえ、テレビ放送などへの干渉を確実に回避する仕組みの検討や、商用化に向けた装置の小型化/省電力化を進める。また、さまざまな環境における実証実験を引き続き実施していくという。なお、今回の実験成果は1月29日から米国で開催される「the Super Wi-Fi Summit」などで発表する予定だ。
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