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総力で挑む「日の丸クラウド」で勝負 NEC・中江執行役員

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photoNECの中江靖之執行役員

——2013年の振り返りをお願いします。

中江執行役員 この1年で顧客企業の意識が大きく変わったと感じます。従来はクラウドに対して慎重な企業が大多数でしたが、今ではその多くが導入に向けて動き始め、実際に成果を上げる企業もいくつも登場しています。

 当社も2013年は、クラウドをはじめとするサービス事業の強化を目指してさまざまなチャレンジに取り組みました。4月に行った大規模な組織改編もその一環です。全社横断でサービス開発を行う新組織「C&Cクラウド基盤戦略本部」を新設し、新クラウド基盤サービス「NEC Cloud IaaS」(2014年4月提供予定)の開発に全力を挙げてきました。

 社内的にはクラウドサービスが売れればハードウェア製品の出荷が減るはずですから、従来はこれらの担当部門がいわば“社内競合”の関係にありました。それをC&Cクラウド基盤戦略本部という組織のもとで融合することで、NECが総力を挙げてクラウド事業に挑める体制が整ったのです。

 その上で、NEC Cloud IaaSでは海外ベンダーのクラウドにも負けない低価格を実現するため、オープンソースソフトウェア(OSS)の積極活用にも取り組みました。また、さらなる低価格と高い信頼性を両立するため、OSS以外のソフトウェアとハードウェア、データセンターは全て内製にこだわって開発しています。

——この1年で苦戦したこと、特に成果を上げたことをそれぞれ教えてください。

中江執行役員 特に大変だったのは、自社のクラウドにOpenStackなど複数のOSSを組み込むことです。OSSそのものは世界中で多くの開発者が使っていますが、それをいくつも組み合わせて導入するのに苦労しました。

 OSSの多くは、当社がこれまで使ってきたソフトとは勝手が全く異なります。さらに、市販のソフトと違って信頼性や性能に対して誰も責任を取ってくれないわけですから、それを自社サービスに取り込んで自信を持って顧客に提供するため、徹底的に負荷テストを繰り返してきました。

 NECが他の多くのクラウドベンダーと異なるのは、ハードウェアからソフトウェア、OSS、データセンター、運用まで「全てに責任を取る」ことです。どこで何が起きても知らないという“ブラックボックス”ではないと自負していますので、それに恥じないサービスを開発、提供していく所存です。

 このほか成果を上げたことは、この1年で社内のクラウドに対する考え方がかなり変わったということです。リソースをプールとして使うクラウドサービスは、従来のハードウェア販売とは提案のアプローチや契約の仕方が全く異なりますが、4月からのサービス提供に向け、社内での理解や準備は予想以上のペースで進んでいます。

——2014年の事業目標を教えてください。

中江執行役員 NEC Cloud IaaSは4月に提供をスタートした後、10月に大幅な機能強化を計画しています。また、サービス型だけでなくオンプレミス型や海外展開なども積極的に進めていきます。

 4月からのサービス提供を通じ、顧客からさまざまなフィードバックを受けていきたいと思っています。そこで得られたニーズを開発に反映し、さらなるサービス向上に努めていく所存です。

 2014年はある意味、NECにとって新たなスタートラインとも言えます。実際にサービスを始めればこれまでにない新しい発想も湧くはずですので、2014年は当社が「クラウドファースト」を具現化していく年になるでしょう。

——最後に、中江執行役員が「組織を率いるリーダー」として絶対に譲れないことをお聞かせください。

中江執行役員 特に大切にしているのは「ブレイクスルー」を起こすことです。従来の考え方ならできなかったことを、なぜできないのか考え抜いて、できるようにする。リーダーがこのプロセスを自ら実践してみせることで、メンバーに「こういうことができるのだ」と示していくことが重要だと思っています。

 NEC Cloud IaaSの開発でも実は、OSSの採用や、ハードウェア、ソフトウェア、データセンターを全て自前で作ることについて、検証の手間などを懸念して反対する声もありました。しかし、自前開発のほうがよりコストを削減できることなどを説得し、ようやくここまでプロジェクトを引っ張ってくることができました。

 批判的な声が多く聞こえるような場合も、誰かが声を上げれば「本当はやりたかったけど言えなかった。声を上げてくれてありがとう」と反応してくれる人も必ずいます。今回のプロジェクトも、そうした社員たちの力を借りながら進めてこられたと実感しています。

 当社としてはやはり、日本発の「日の丸クラウド」を絶やしたくないという思いがあります。これからも日本ならではの価値やニーズをNEC Cloud IaaSに注ぎ込み、世界中のユーザーから「日本のクラウドのほうが安心だから使ってみたい」と言ってもらえるようなサービスに育てていきたいですね。

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