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大手ベンダーに負けない! POSデータ分析でシェアを広げるデータコム

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「田中克己の『ニッポンのIT企業』」 バックナンバー一覧

 POSデータを活用した顧客分析や商品分析に特化した事業を展開するのが、仙台市に本社を置くデータコムだ。

 流通小売業向け基幹システムは大手ITベンダーの牙城だろうが、同社の小野寺修一代表取締役は「分析システムは中小IT企業にチャンスがある」と判断し、1994年の創業から分析関連のシステム開発に力を注いできた。結果、100社近いユーザーを獲得、シェアは約40%に上るという。

課題は分析結果の活用法

 流通小売業のデータ分析ニーズが高まっている。誰がいつ、どんな商品を購入したのかを把握することが店舗経営にますます重要になってきているからだろう。少子高齢化や人口減少が進むなど社会構造が大きく変化する中で、生き残り、成長を遂げる上でデータ分析は欠かせなくなってきた。

 とはいっても、データ分析は容易なことではない。どこに、どんなデータがあるのか、分析した結果をどう活用するのか、分からない企業は少なくない。データコムの小野寺氏は「そもそもマスター管理ができてない企業がある」と指摘する。例えば、発注先のコードがあっても、調達した商品のメーカー別コードがなかったりする。仕入れた商品がどこで、いつ製造されたのか、といった商品の“DNA”が分からないということになる。

 そこで、データコムは約5年前にLinux上で稼働する分析ツールを自社開発した。「欧米の製品より速い」(小野寺氏)というインメモリシステムも独自開発する。それまで、大手ソフト会社の汎用ソフトを使っていたが、処理時間がかかるなど課題があったからだ。

 だが、ツールの提供だけでは、ユーザーのデータ活用が進まないことに気が付いた。「使えない人にも使ってもらえるようにするには、アプリケーション領域に踏み込む必要がある」(小野寺氏)と考え、データの整理や分析結果の活用を含めたコンサルティングに乗り出した。例えば、商品を購入したのは20歳代か、子育て世代か、シニアなのかを分析しても、「それをどのように業務に落とし込むのかが課題」(小野寺氏)。要は、廃棄ロスを減らすなど利益向上につなげることだが、実際にはレシートにクーポンつけて発行するなどといった販促活動に利用する程度とみられている。

 だが、顧客が欲しい商品か分からないのに、クーポンを発行する意味はない。本当に欲しい商品をOne to Oneマーケティングで分析し、「例えば、ワインが好きな顧客に、ワイン工場の見学会を提案する」(同)といった企画を立てる。

 このような活用効果を上げるには、データコム1社だけでは難しいことがある。例えば、データ分析の結果から消費者が商品を購入しやすい棚に作り直すには、棚管理の専門会社や地図専門会社、マーケティング専門会社などと協業したほうが効果を出せるだろう。「ぞれぞれの分野を得意とする企業が集まる」(小野寺氏)ことで、POSデータの分析を成果に結び付けられる。

 成功事例の発表も積極的にする。そして信頼を勝ち取り、「『データコムに頼むのがいちばんだ』と言われるようにした」(同)。

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