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別の意味で“ガラパゴス”になりつつある日本が心配です

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 ちょうど1年前(記事執筆当時)、「(スマートフォンを)1台だけで満足に使える日が来るのだろうか」と書いた筆者。スマートフォン1台だけに絞って使うことがどうしても“スマート”(無駄がない)とは思えない、という思いからこう締めくくったわけだが、2013年はどうだったのだろうか。振り返ってみようと思う。

安定重視にシフトした富士通のAndroidスマートフォン。でも……

 日進月歩がすさまじいAndroidスマートフォン。2012年冬あたりで、円熟、とまでは行かないものの、どのメーカー・機種を選んでも動作や使用感に問題のないところまできて、あとは好みの問題なのかな、というところまで来たと思っている。

 2012年同様、同じメーカーを選び続けた方が“進歩”を見極められるという方針のもと、基本的に今年も富士通の「ARROWS」を選び続けた。とりあえず、実際の入手順ではなく、発売時期の早い順に振り返ってみようと思う。

 まずは「ARROWS ef FJL21」。auの「4G LTE」対応Androidスマートフォンの第1陣として登場した同機は、筆者にとって、初めての富士通モバイルコミュニケーションズ製ARROWSとなった(ARROWSはドコモ向けのみ富士通製、それ以外は富士通モバイルコミュニケーションズ製。ここ、ARROWSフリークテストに出ますよ!)。

 ARROWSといえば、フルスペックをセールスポイントとしていた。実際、FJL21もそれを採用していたが、同時期に他キャリアから出たARROWSと比較すると、画面サイズをはじめとして、さまざまなスペックが抑え気味となっていた。過去の「ARROWS Z」シリーズで度を過ぎた“やんちゃ”ぶりを見せたせいかもしれないが、真相は定かではない。ただ、今を思うと、この機種が2013年夏以降のARROWSが見せた“安定志向”の伏線のひとつだったのかもしれないな、と思う次第だ。

 実際はどうだったのか? システムメモリー(RAM)容量が2Gバイトが主流になりつつある中で1Gバイトしかないのは、アプリの稼働面では正直辛いところが多かった。一方、通信面ではauの「4G LTE」の快適さを感じるには十分すぎた。現行機種とは異なり、2.1GHz帯には対応しないものの、それがかえって快適さにつながったのかもしれない。現在でも、比較的安定して通信できているのは、KDDIの努力のたまものだろう。

photo筆者初のドコモ向けではないARROWSとなった「ARROWS ef FJL21」

 続いて「ARROWS X F-02E」。2012年の振り返り記事で紹介した「ARROWS V F-04E」よりも型番的には先なのだが、なぜか2013年春モデルとして登場した。ARROWS初のフルHD液晶を搭載したり、機能をあえて削って使いやすさを重視したカメラアプリを搭載したりと、意欲的な取り組みもなされていた。だが、包み隠さず正直に言うと、F-04Eの方が完成度・安定感ともに上で、F-02Eの出番は少なかった。F-02Eはスペック至上主義の旧来路線のARROWS最後の機種となった。

photo2013年に購入したARROWSの中で、一番出番が少なかった「ARROWS X F-02E」。手に入れたものの、この後どうなったかは……お察しください(1年ぶり2度目)

 そして、いよいよ路線変更が決定的となった2013年夏モデル「ARROWS NX F-06E」に至る。ドコモ向けARROWSとしては初めて、Qualcomm製のチップセットを採用し、ハードウェア・ソフトウェアともに安定性を最重要視して開発が進められたモデルだ。実際、従来のARROWSと比較すると、本体の発熱は他社並みかそれ以下に抑えられ、ベンチマークやアプリを動かした際の印象も悪くない。ソフトウェアの不具合更新も、従来機種と比べると少なくなっている。スマートフォン初搭載となったフルセグも、視聴環境に恵まれているせいか筆者的には非常に重宝した。まさしく個人的に「Best of ARROWS」を与えるにふさわしいモデルだ。“そつのない優等生”になった

 ただ、2013年夏モデルでドコモが採用した「ツートップ」戦略や、今までのARROWSが積み重ねたやんちゃぶりがあだとなり、今までのARROWSのような爆発的な売れ行きとはならなくなったのは、ちょっと残念だ。

photo「ARROWS NX F-06E」。フルセグを見たら、ワンセグに戻れなくなるぐらいにフルセグは正義

 さらに、「ARROWS NX F-01F」では安定性重視の路線を踏襲しつつ、見た目やユーザーインタフェース面にも路線変更が加わった。今までも丸みを帯びたARROWSはあったが、言うなれば“硬派な丸さ”といった感じだった。それが、完全に“柔らかい丸さ”になったのだ。ユーザーインタフェースに関しては、よく見ると機能配置などはF-06Eまでと変化ないのだが、配色やデザインがこれまた柔らかい感じになってしまった。

 筆者は、「硬派なARROWSが軟派になってしまった」と、F-06EでチップセットがQualcomm製になったこと以上の衝撃を受けた。恐らくは、今までのARROWSのやんちゃな歴史をフルリセットしたいがゆえのことなのだろうが、ずっとARROWSを見てきた身からすると、何だか残念に思えてしまったのが正直なところだ。

 ただ、実際使ってみると、光沢加工になっているわりには手汗をかいても手からすり落ちることは滅多になく、端末の持ちやすさは秀逸だし、ソフトの安定性も高いし、キャップレス防水はとにかく便利だし、液晶は外でも見やすい——と、デザインの好み以外はF-06E以上に“そつのない優等生”になっていることが分かる。

photo筆者を電子書籍に目覚めさせるほど屋外での液晶が見やすくなった「ARROWS NX F-01F」

 ということで、2012年以上にARROWSについて書いてしまった(編集さん、ごめんなさい……)わけだが、品質面や使い勝手において今夏以降のARROWSは非常に良く、ちまたでよくいわれる品質の悪さはみじんもない。しかし、過去の積み重ね、販売施策、ライバル機種の商品力の高さなどなど、さまざまな要因が重なってその良さが伝わらない状況になってしまったのは事実だろう。来年、再来年とこの品質・使い勝手を更に向上していくことでしか、ARROWSの信頼回復は図れないと思った次第だ。

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